2012-01-01から1年間の記事一覧

明治憲法讃美者の邪を正す

大日本帝国憲法第2章臣民権利義務には、近代国家が準備しているはずの市民権に関する記述が見当たらない。それに相当する日本国憲法第3章国民の権利及び義務には冒頭から2番目の第11条に「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国…

可能態としての犯罪者

犯罪者と非犯罪者には、訴追において[見えている]/[見えない](=客観的的な基準)と、意識において[罪を犯した]/[していない](=主観的な基準)で4つのマトリクスの分類が可能です。 ____________________________…

論文の被引用度に関するエッセー

某大学の友人のO氏がした「Science誌の引用論文(Calcagno 2012)。初投稿で一発受理された論文よりも、一回以上リジェクトされてから受理された論文の方が、刊行後の引用回数が有意に多かった。ただし、あまり分野の離れた雑誌間では当てはまらず」という呟き…

ニーチェと生理学

19 世紀の生理学の急激な進歩によって、ニーチェの「生理学」理解がいかに変容したかを跡づけるとともに、それに従って彼の「身体」と「芸術」の概念にも大きな変容が生じたことを詳らかにする(アマゾンの紹介)。 【目次】 第1章 ランゲとカント 第2章 ニ…

etimology of Peasant, from OED

etimology of Peasant, from OED [a. AF. paisant, in OF. païsent, païsant, paysant (12th c. in Godef.), mod.F. paysan (13th c. in Littré), f. païs, pays country:―L. pāgensis, sc. ager, the territory of a pāgus or canton, the country. Cf. It.…

unencumbered subject of possession in the case of Rawls

"For justice to be the first virtue, certain things must be true of us. We must be creatures of a certain kind, related to human circumstance in a certain way. We must stand at a certain distance from our circumstance, whether as transcend…

切れやすい人への、対応策

切れやすい人に対して(1)君はまず相手の行動を自覚し観察者の視点が有利であることを再確認します、そして(2)相手の怒りを引き起こすきっかけとなるトリガー(引きがね)を特定し反応の仕方を変えるよう努力しましょう。そのような「努力」に集中する…

少数民族との連帯

少数民族の権利を抑圧する日本政府が許せない、と、ここまではよいが、可哀想だから支援してくれと、言われた瞬間に、あんたは少数民族をパトロナイズする/できると信じているがゆえに、批判している当の邪悪な日本政府とおなじ権力を持ちたいわけや、と皮…

on apotheosis of Arthur Kleinman

アーサー(Kleinman)とジョーと一緒に石切神社にいって、その後、今宮戎があったので、お正月すぎだったのか?たぶん1982,3年ごろ。 でも、その後の彼への神格化(apotheosis)は、あれでよかったのかな? 最近読むのは「病いの語り」を絶賛する論文の引用…

両部神道

眞言神道 / 和多秀乘校注 ; 神道大系編纂会編 ; 上, 下. -- 神道大系編纂会 , 1992. -- (神道大系 / 神道大系編纂会編 ; 論説編 1,2) 本地垂迹説と兩部神道 / 上田天瑞著, 古義眞言宗學務部編. -- 古義眞言宗々 務所, 1937 両部神道集 / 阿部泰郎, 山崎誠編…

Sさんへの応答

Sさんへ 御自身で命題を出されて、御自身で解答されておられるわけですから、それでよろしいのではないかと思います。 以上が、先のメールでのお返事の内容でした。 ** ただひとつ私見を加えますと、Sさんが書いておられる…… 「『すべての人に何の差別なく…

観念的な「部落」など存在しませんが、観念化する差別は厳然と存在し

>> 私の浅い経験と見解によりますが、部落民差別というのは厳然と存在しますが、佐野さんの表現するようなDNAを含めて「部落民」あるいは「被差別部落の出身者」とそうでない人を、根本的にわける弁別指標(根拠)は存在しません。だからそんなラベルは、不…

科学の捏造疑惑とノーベル賞

科学論文捏造問題の当事者の報道をみていると、かつて旧石器時代の石器を次から次へと発掘するゴッドハンドと呼ばれた詐欺師研究者のことを思い出しました。自然科学系だから関係ないとは人文社会研究者も言い逃れ出来ません。真理への背徳の罪は、世間的道…

音読法を侮ることなかれ

音読法を侮ることなかれ、ですよ。 私の高二時代の英語のリーダーの先生はこう言ってました(趣旨)。 受験のレベルの英語は、中学の文法知識で十分読めるものだ。だから、中学の教科書を全部音読し、音で英語を理解できるようなれば、大学受験の基本的なこ…

東北の復興地と第三世界

1980年代、日本政府あるいはJICAによるODA批判がやり玉にあがった時、批判者たちは日本の銭が途上国のインフラに役立っているとことが、そのインフラ整備に日本の企業が参入していることで、結局に、日本企業への日本の銭の還流を問題にしなかっただろうか?…

creatio ex nihilo

creatio ex nihilo cración desde nada (nihilo en Latin significa la condición vacía, o nada) Para los catoricos fanaticos es muy dificil imaginar el pensamiento aristoteliano sobre "cración desde nada," porque la premisa de su creación es d…

誤訳に失望

リベラリズムと正義の限界、の翻訳が酷いというレビューがあった。そういえば昨夜読んだ別の政治哲学の訳書も、delineation を臆面もなく「描写」と訳していた。集団のアイデンティティを論じる箇所で、直後に「グループ分けの詳細な地図を作」るなどと書い…

マッハ『感覚の分析』

反形而上学的序説 いくつかの先入見について 私とアヴェナリュウスその他の研究者たちとの関係 感覚の研究に対する主要な着眼点 物理学と生物学、因果性と目的論 眼の空間感覚 空間感覚の立入った研究 意志 空間に関する生物学的・目的論的考察 視感覚の相互…

存在了解から存在生成へ!

木田元の本の前に、以下の本を読んでいました。 ハイデッガー『ハイデッガー・カッセル講演』平凡社ライブラリー、2006年 です。それから、木田流に、存在了解から存在生成というスローガンも、あれかこれか、あるいは二元論で捉えるのではだめで、了解があ…

人間中心主義者

東北大学の野家啓一さんが有斐閣の広報誌で、科学技術にも「シビリアンコントロール」が必要とおっしゃるけど、一昔前の(俺はもう社会的使命を終えたと思っている)所謂かつてのSTSであり、空疎なスローガンとどのように異なるのか、俺にはよくわからない。…

古事記

あしかびのごとくもえあがるものによりてなる――古事記 哲学者の木田元は、ハイデガーの存在論批判研究で有名な人だが、ハイデガーは『存在と時間』の続編が失敗したことを、単なる執筆の遅れや、書物の構成のまずさではなく、自分の思考の構築のやり方の根本…

Richard Browne, Medicina musica, 1729

Richard Browne, Medicina musica : or, A mechanical essay on the effects of singing, musick, and dancing, on human bodies. Revis'd and corrected. To which is annex'd a new essay on the nature and cure of the spleen and vapours. London : Pri…

人種の概念とは?

「人種の概念が遺伝的あるいは科学的な根拠をもたないことを示す助けとするためのものでした」――クレイグ・ベンター(2000年6月26日 ホワイトハウスにて) ◎人種とは? http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/000609race.html

アルゴリズム倫理学(algorithm ethics)

【プロトコル倫理学】 protocol ethics プロトコル倫理学とは、経験的調査により対象者の言語として発話されたプロトコルデータの(論理的で詳細な)分析を通して、対象者の内的認知過程を推論し、分析し、そして、その論理的プロセスを再構成する応用倫理学…

基本情動につき

エクマンの立論の最大の問題は、基本情動の類型化の共通点が、文化を異なる人の情動語彙の共通性ということです。だからといって、証明もされていない内的メカニズム(そんなものがあったらの話ですが)も同じなのかは別問題かもしれないということです。色…

エコツーリズムから生物多様性へ

昔は、エコツーリズム研究していましたが、今はもっぱら生物多様性概念の社会化について研究しています。 Eco-Tourism, Exploitation and the Cultural Production of the Natural Environment in Costa Rica http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/ec…

コミュニケーション教育と情動

コミュニケーション教育において情動(感情、エモーション、情緒など)がどのように作用しているかについて研究は極めて僅かしかありません。この論考は、情動に関する興味を喚起するために、情動の語彙、普遍的なのか文化依存的なのか、情動研究の略史とそ…

Mototsugu KOHAMA(小浜基次)1904-1970

Mototsugu KOHAMA(小浜基次)1904-1970 http://anthropology.blog.ocn.ne.jp/bioarchaeology/2012/07/19041970_2712.html 大阪大学教授(1953-1968)小浜はアイヌの生体計測の専門家だった人 1. 小浜 基次|武内 純四郎 沙流アイヌの生体計測 (適合度: 16) …

大学で宗教研究を勉強したい高校生へ

続いて、宗教研究を勉強する際の問題について考えてみたい。 宗教は勉強するものではなく、実践するものだという主張がある。 あるいは神学や仏教学のように、宗教を実践するために、宗教を研究する・勉強するという立場がある。その特定の宗教を肯定・容認…

医学教育の国際標準化という幻影

医学教育の(国際)標準化? そんなもの無駄だからやめたまえゑ! なぜなら君たちの商売相手である患者や病気は、そんな標準化などすり抜けてどんどん変わっているからだ。 もちろん、変わってゆく原因は外的な要因だけでなく君たちじしんによる医学的技術や…