Sさんへの応答

Sさんへ
 御自身で命題を出されて、御自身で解答されておられるわけですから、それでよろしいのではないかと思います。
以上が、先のメールでのお返事の内容でした。

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ただひとつ私見を加えますと、Sさんが書いておられる……
「『すべての人に何の差別なく医療を施す』ことは医療倫理の第一原則」
をより正確に表現しますと
「『すべての人に何の差別なく医療を施す』ことは(Sさんが考える)医療倫理の第一原則」だとすれば、医療を営利でやる必要はなくなります。そして、医療を管理する社会(政府・自治体・共同体・集団)が、医療者に応分の待遇で処する必要(=義務が生じる)があると思います。
現実はそうなっていないのですから、「『すべての人に何の差別なく医療を施す』ことは医療倫理の第一原則」ですから、Sさんのお考えを現実に合わせると、社会が間違っていることになります。また、社会の通念である「医療も営業活動のひとつである」ということを容認すると、この第一原則は、現実(経験的事実)には即していないことになります。したがって、この推論「『すべての人に何の差別なく医療を施す』ことは医療倫理の第一原則」は、限りなく根拠のない主張であるように思われます。ちょうど宗教的お説教の「すべての人は地獄に堕ちる」「すべての人は救済される」が胡散臭いように。ただし「すべての人は死後、審判を受けて、天国と地獄行きに分けられる」というのは、その説教が法螺であるにも関わらず、現世を生きる戒めになる点では、先の命題よりかは、検討に値するものだとは思いますが……
以上です。
垂水源之介