可能態としての犯罪者

犯罪者と非犯罪者には、訴追において[見えている]/[見えない](=客観的的な基準)と、意識において[罪を犯した]/[していない](=主観的な基準)で4つのマトリクスの分類が可能です。
______________________________________
[見えて]かつ[罪を犯した者]  |[見えて]かつ[罪を犯していない者]
______________________________________
[見えてなく]かつ[罪を犯した者]|[見えてなく]かつ[罪を犯していない者]
______________________________________
これは、通常のレッテルでは、
__________________
[犯罪者・服役者]  |[無実の人]
__________________
[バレていない犯罪者]|[市井の人]
__________________
となります。
人生を送る上で、我々はこの4つのマトリクスを経験することができますので、本質的で永続的な犯罪者というものは存在しません。犯罪者は社会的ラベルのカテゴリーにすぎません。また服役すれば〈非犯罪者〉になるわけですから、前科というレッテルも司法機関をも含めてあらゆる判定に考慮すべきではないという考え方もできるわけです。再犯の可能性が高いという〈事実〉は、服役後の支援という観点からも現在の更生制度が機能していないのであって、犯罪者自身に、すべての再犯の責任を押しつけるのは、心の病い等の診断なしには、まったくお門違いな偏見にほかなりません。