イデオロギーとユートピア(マンハイム)
Mannheim, Karl, 1929, Ideologie und Utopie, 1929
■知識社会学の構想
■客観性や中立性の概念の脱神話化(社会的拘束性)
■マルクス主義における「全体性」概念:社会状況によって社会集団の思想が決定される
■イデオロギーと知識の位相
イデオロギー概念‥‥‥存在被拘束性
知識‥‥‥‥‥‥‥‥‥存在被拘束性
■知識社会学の定義(=構想):思想そのものを対象とするのではなく、思想の存在被拘束性を明らかにする。
■イデオロギーとユートピアの定義
イデオロギー:支配集団の現状維持を承認する「虚偽意識」
ユートピア:被支配集団のもつ現状を超える「虚偽意識」
■イデオロギー概念の下位区分
部分的イデオロギー:個別の利害で構成された虚偽意識
全体的イデオロギー:社会構造に決定された虚偽意識(general total conception of ideology)
■全体的イデオロギーの下位区分
存在者以外の他者の立場のすべてを否定する:特殊イデオロギー
存在者そのものの認識もすべてイデオロギーとする:普遍的イデオロギー
※普遍的イデオロギーは、[認識論的]相対主義(relativism )を導くが、彼はそれを拒絶して対処法として関係主義(relationism)を持ち出す。
■普遍的イデオロギーの認識を担保できる存在者としての知識人
知識人は、特定の階級的利害から自由になれる可能性を有しているから、社会的思考を分析する妥当性を担保できる。
■思想の継承者たち
ウィキ(英語)によると、マンハイム『イデオロギーとユートピア』に影響を受けた知識人には以下のような思想家たちがいる。(ただし出典が不祥とされている)
Hannah Arendt, Max Horkheimer, Herbert Marcuse, Paul Tillich, Hans Speier, Günther Stern (aka Günther Anders), Waldemar Gurian, Siegfried Kracauer, Otto Neurath, Karl August Wittfogel, Béla Fogarasi, and Leo Strauss.
■批判者たち
・マルクス主義、ネオマルクス主義、フランクフルト学派など
・ライプチヒ大学で1925年に社会学部を創設したHans Freyer(ヒトラー支持者で、Ferdinand Tönniesの敵対者)
文献
Mannheim, Karl "Ideologie und Utopie." Bonn, 1929 (マンハイム、カール『イデオロギーとユートピア』鈴木二郎訳、東京:未来社、1968年)
Mannheim, K. "Ideology and Utopia." London: Routledge.1936.
Karl Mannheim, http://en.wikipedia.org/wiki/Karl_Mannheim
池田光穂「カール・マンハイム」http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/070116mann.html