親密圏研究のルーツと殺人研究

《親密圏研究のルーツと殺人研究
 1968年、リンドン・ジョンソンが「暴力の原因と阻止」の研究委員会を大統領名で組織した時に、社会学者ウィリアム・グードが親族・配偶者・愛人・親しい友人などをひっくるめて「親しい者たち(intimates)」と呼んだ。親密者への殺人比率は、見知らぬ他者を殺す比率よりも高いのだ――このことに関しては統計的な異論があるが。その理由は、彼らどうしが殺し合いをするための遭遇頻度が高いという常識の確認にすぎなかった。このことになかなか我々が気付かなかったのは、「親密な者どうしは殺害をしない」という誤ったバイアスに我々が呪縛されているからである。