精神の普遍性への病的執着について

《精神の普遍性への病的執着について》
 ブロムカンプ監督「チャッピー」のあのエンディングは絶対に「チャッピー2」の伏線ですね。しかし、彼の6年前の作品「第九地区」に共通するポイントは人間(=チキュウジン)にとっての「肉体の牢獄」のジレンマを、宇宙人やロボットという、人間の身体性をもたない〈存在〉が媒介になって克服するというという点にありますね。ロボットに同胞たる暴徒を身体的弾圧や場合によっては殺害手段を用いて鎮圧することにはまったく平気な残酷な人間――ギャングの暴徒にもそのような残忍さがある――そのものが、掛け替えのない異質な〈存在〉には奇妙に感情的同化をとげて、最後には、そのような存在になってしまうことにも抵抗なく受け入れてしまう。人類の身体の儚さと、精神の普遍性への病的執着を上手に描いています。