マキャベリ以前

マキャベリ以前】
マキャベリ以前」とは、マキャベリを知らないということ、それだけ無知ないし配慮の足らない連中(=首相を含めた今の自民党の国家議員ども)ということです。さて、そんなイカレポンチのことを気にし過ぎるとこちらの頭まで腐りますので、もっとまともな話に戻したいと思います。
 ブロノフスキーとマズリッシュは、The Western Intellectual Tradition, From Leonardo to Hegelの中で、マキャベリを、なんと、トーマス・モアと対比的に論じています――正確には、モアをマキャベリとの対比の中で読み、リアリズムをどのように考えるかを議論しています。なかなか、センスがいい。
 今の教育(高校の教科書)では、マキャベリを、権謀術策とか戦略家として後世に影響を与えたとしか彼の業績を伝えない。文化史は、マキャベリが生きた時代や背景、さらには伝記的描写に焦点をあてて、今日マキャベリズムと呼んでいるものが、なぜ(当の)マキャベリに帰せられるのか、そのことを考察する――高校生ぐらいならわかると思うけど、マキャベリマキャベリが思想として紡ぎ出したものは「同値」ではない。そのような理解に達するためには、トーマス・モアの構想した「社会」とモアの思想(=ユートピアニズム)を、比較参照点にすると、それがコントラストして顕れ、その理解が深くなるということです。
 だから、俺達はマキャベリについて「もう」知りつくしているわけではありません。知っているのは、俺達の既存の評価だけで、さまざまなマキャベリについて、俺達は「まだ」知らないのです。http://bit.ly/NcDEcn