パーソンズ

これはパーソンズの個人的な知識の披瀝と推論によるものと思われているが、現代の我々からみても唐突で、いくら「パレートが『個人の保全』と呼んだものと関連した心情のいくつか」の「身体の『不可侵性』に焦点を合わせ」たものとしても、以下の引用を読む度に、読者はある時は困惑しある時は微笑まざるを得ない。「身体の露出とか身体の接触の量たそれらの機会は、すべての社会で注意深く規制されており、われわれの社会では、はなはだしく規制されている。通常、裸でいるのが正常ではない文脈で裸を見ることや、人びとの身体にさわったり、それを触診したりすることは、以上述べた事柄にかんがみて説明をようする『特権』である。患者が異性である場合の露出と接触の事例は、ときに劇的なケースではあるけれども、より一般的な範疇の一つのケースにすぎないことを銘記しなければならない。われわれの社会では、また、男性のあいだにも、同様に女性のあいだにも身体の接触を規制する非常に強い心情があるのは疑いのないところである。……医師は、かれの職務を遂行するために、患者の身体に是非とも接近しなければならない。じっさい、たいていの正常な個人は、直腸とか膣の検査の場合のような、医師のいくつかの接触を、どんな他の人間にも、性交の相手にも許容しないだろう。その他のいくつかの事柄は特別に親しい間の人にしか許容されないだろう」[パーソンズ 1974:446-447]。