選択権を放棄するという図式

【自己決定できない人が選択権を放棄するという図式について考える】
1.自己決定できない人が選択権を放棄するという図式について考えよう
2.選択権を放棄するということは「自己決定が可能な場合」にのみ可能になる
3.治療が選択できる、ということも「自己決定が可能な場合」にのみ可能になる。
4.選択権を放棄するということは、治療が選択できるというオプションとは異なる次元での態度決定のことである。
5.治療の選択を、形式的に可能にするのは、コンシューマリズムの文脈の中である。
6.コンシュマーリズムの文脈の中では、クライアント(=顧客)は、自由意思を行使して治療を選択することができる。
7.コンシュマーリズムの形式性の中では、医療者は治療(のオプションを提示するだけでその)の選択をできないからである。
8.医療者が患者に対して治療のオプションを限定して選択できるのは、その文脈の上で医療者が患者に対してパターナリズムを行使して顧客である患者に「助言」する時だけである。
9.これらはすべて自己決定が可能な場合にのみ適用できる。
10.したがって、自己決定できない人が選択権を放棄することは「ありえない」し、それをパターナリズムの文脈で行おうとしても、それは「理論的に不可能」であり、その人に代わって「選択権を行使しているとは言えない」ことになる。