全体主義の「エートス」

全体主義の「機嫌」あるいは「エートス」について】
 マルクス主義者たちは、人種概念に変わるものとして「階級」を発明して、前者が齎す災厄を止揚しようとしたとも考えられます(マルクスユダヤ人問題について」)。スターリンたちがレーニンの死後、最終的にトロッキーに死刑宣告をして、ソビエトの市民権を剥奪し「無国籍者」(アーレント全体主義の起源参照)にして、係累まで「家系」をまで遡及して流罪処刑したことは、ソビエトもまた反ユダヤ言説を復活させてナチスドイツばりの人種政策を復活することになります。ソビエト政権の内部抗争が一段落し、敵がそのように国内にいなくなる(=見えなくなる)ということに満足せず、中国共産党よろしく今度は少数民族を抑圧しにかかるのです。階級概念が死に体と化して「民族」という人種概念が復活するのです。ブルジョアへの憎悪をコントロールして革命のエネルギーに変えようとしたマルクス主義でしたが、いつのまにか、その憎悪はルンペンプロレアートたる「少数民族」や「アウトカースト」という、階級闘争を通してもはやなくなったと信じていた「悪魔」を再び登場させることになります。