入会権覚書

入会権覚書
「以上の三種類の入会関係は旧藩時代から明治5年の官民有区分の際迄存在した。明治5年の官民有区分の結果旧来の藩有地は総て官有地に編入された。而して藩有林が官有地に編入されると共に旧来其地元民が有していた入会関係は廃止されたから、官民有区分以降に於いては法律上藩有地対する入会関係はなくなったのである。然し入会地農民の生活に欠くべからざる補充財であったから、仮令藩有林が官有地に編入され、形式上入会権は官有地編入と同時に消滅しても、農民のは依然として旧慣により官有林に立ち入り共同収益した事であろう」石田文次郎『土地総有権史論』岩波書店、1927年、485ページ。ただし文章の漢字は一部ひらがなにした。