蠱惑のスローガン:Tierra y Libertad

空手氏「サパタが信仰されるのは,土地と水という生存戦略の基本を押さえたからでしょう。カストロも農地改革に熱心だった。ポリティクスの基本はどうしたって生活問題なんですよね
――なんか、安藤昌益の大衆版みたいですね。でも、私は〈土地と水という生存戦略の基本〉というスローガンも、Tierra y Libertad と同様、かなりバイアスのかかったイデオロギー効果をもった用語だと思いますね。〈エコロジー〉と同じで〈近代進歩主義〉と同様、俺たちの政治的判断をまごつかせ、(合法/非合法的手段的)暴力行使に道を切り開くものだと思いますよ。この説明のロジックは、サパタが信仰される理由はわかったとしても、サパタが殺された理由をつまびらかにしないのではないでしょうか。
私にとってのサパタの魅力は、なぜ Tierra と一見無関係に思える(シュールリアリステックな)Libertad な併置が可能だと考えたのか、そして、その交錯させることが難しい、まったく異なった概念を併置するスローガンの、奇妙な魅力にあります。なぜか、マルクスとは異なった意味での革命的認識論と言うと、ちょっと贔屓の引き倒しですが。奇妙な魅力にあふれた言葉で、これぞまさに〈社会的存在〉としての人間の〈生存戦略〉の基本となる2つの概念――遊牧民なら前者を嗤うかもしれませんが――と、その節合(連接、併置?)だと思います。味わい深すぎますね??!!