韓国・北朝鮮ヤクザ事情

「韓国や北朝鮮のヤクザ事情についてはわからないことが多い。/韓国には、日本のような代紋を掲げて事務所を構える暴力団組織は存在しない(国家保安法により非合法)が、七星派や二十世紀派など百を超える組織が在り、組員の総数は約三千人といわれる。七星派は周辺の組織を傘下に収め、現在は名称を七星会と改称しているらしい[→朝鮮日報2010年4月7日:暴力団「七星派」組長、手配から35日で逮捕[リンク]]。また他に台湾系中国人のグループも確認されている。/北朝鮮のヤクザ事情については、白栄吉著、李英和訳『北朝鮮不良日記』(ザ・マサダ、のち文庫化)、朝鮮日報月刊朝鮮、黄民基著『北朝鮮その衝撃の実像 新訂』(講談社+α文庫)などに詳しい。/『北朝鮮不良日記』を著した白栄吉は北で平壌に次ぐ豊かな都市とされる平安南道安州市のヤクザ組織(チュモクセゲという)・パッキ派(車輪派)の元幹部で、彼によると、パッキ派は約二百人の構成員を擁する安州最大の組織だったという。主なシノギは砂金や骨董品の密売で、強盗や金庫破りをやる輩もいたとか。(骨董品の闇流通ルートについては西岡力著『暴走する国家・北朝鮮』にその一例が紹介されている。)安州にはパッキ派、カマギ派(カラス派)、ケスンニャンイ派(朝鮮狼派)、ヒョムサ派(刑事派)の四つの組織があり、少し離れた新安州にはケントル派(悪党派)を名乗る一派もあったが、九十二年に労働党が大規模な取り締まりを実施し、これらの組織は完全に壊滅させられたという。元来、労働党とヤクザは持ちつ持たれつの関係で共存してきたが、その暗黙の協定を破ったのが金正日で、直々に“非社会主義検閲団”を派遣して一斉検挙を行なったそうだ。/朝鮮日報月刊朝鮮、黄民基著『北朝鮮その衝撃の実像 新訂』は平安南道南浦市のヤクザについての記述が比較的充実している。八十九年十一月に脱北した元人民軍下戦士・金善日によると、南浦には一地域に三、四組以上の組織暴力団が存在したという。それらは牡牛(ファンソ)団、仲間(チャック)団などと名乗って南浦市内を徘徊(夜ごと徘徊するゴロツキはヤセンと呼ばれる)し、北朝鮮へ帰国した在日韓国・朝鮮人に対して強盗や窃盗を働くなど好き放題に暴れるギャングだった。/“チュモクセゲ”の連中は概ね共通して昼は普通の社会人で退勤後に夜の顔へと変わるというから驚きだ。その闇は日本人の知っている闇ではない」(出典:violence.dtiblog.com/blog-date-200802.html)。