プレカンブリアンエコシステムラボラトリー憲法条文:海洋研究開発機

「地球が生命に満ちあふれた希有な惑星」に成り得た真の原理を明らかにすることは、人類に共通する最大の知的好奇心対象であり、「太陽系を含めた宇宙における生命の可能性や存在条件」を知る最も重要な手がかりとなる。その理由として、地球と生命の誕生から初期進化過程においてすでに、地球と生命が「マントル-海洋-大陸-大気-生命」、「地球-生命」、の相互作用システム体として発生し、機能・進化し続けてきたことが挙げられる。その原始地球生命システムの初期進化とは、原始地球環境の変動と生命を支えるエネルギー獲得系(代謝系)の相互作用の壮大な試行錯誤(大実験)の歴史である。従来の地球科学分野の研究においては、地質(化石)記録が明瞭な多細胞生物の出現とそれ以降の顕生代と呼ばれる過去約6億年間の「地球-生命」の相互作用システムにスポットが当てられることが多かった(例えば、カンブリア大爆発や大量絶滅)。しかしながら、「地球-生命」の相互作用システムのほとんどあらゆるメカニズムは、6 億年より遥か以前(先カンブリア代)に既に完成されていた。このメカニズムの進化こそ、「地球が生命に満ちあふれた希有な惑星」に成り得た理由であり、「先カンブリア大爆発」と呼ぶべき地球と生命の進化における最大の出来事であった。プレカンブリアンエコシステムラボラトリーは、この原始地球生命システムの初期進化(先カンブリア大爆発)の解明を目的とする。本プロジェクトでは、海洋の限定された場から始まった「UltraH3リンケージ」から、汎地球的な海洋環境への進化・伝播過程(光合成システムの獲得とエネルギー代謝の多様化)に至る先カンブリア代の全ストーリーを、海洋研究開発機構のもつ研究ポテンシャルを最大限活用し、解明してゆくことを命題する」。
http://www.jamstec.go.jp/less/precam/j/