嗅覚の化学親和性仮説の再検討

「嗅覚(きゅうかく)で得られた情報をもとに、脳内で匂い情報の「神経地図」が作られる仕組みを、東大大学院理学系研究科の今井猛特任助教、坂井仁教授らが、マウス実験で明らかにした。1960年代に提唱され、長く信じられてきた“定説”に大幅な修正を迫る成果という。米科学誌「サイエンス」に発表した。/視覚、聴覚など五感を介して入力された外界の情報は、神経細胞のケーブルに相当する軸索によって脳に伝わり、2次元の「神経地図」として認識される。地図が描かれるメカニズムについては、脳と軸索に鍵と鍵穴のような関係の分子が存在し、その対応によって正しい地図が描かれるという「化学親和性仮説」が定説化していた。/今井さんらは、匂いを認識する「嗅球」という脳の部位が形成されない変異マウスで、嗅覚の神経細胞を詳細に解析。嗅球がなくても、軸索が神経地図の位置関係通りに整列することを突き止めた。さらに、軸索の表面に分泌される2種類のタンパク質が、軸索同士の位置関係を正しく導く目印になっていることも分かった。/人間の嗅覚も同様なメカニズムが働いていると考えられ、今井さんは「高等生物の神経回路形成を理解するうえでも、重要な足がかりになる」と話している。(中本哲也)」(headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090803-00000523-san-soci)。