窃視症の悦び:1919年3月8日のお手紙

窃視症の悦び
「君から現代少年をうけとつたら「鴉」をよんでごらんなさい あの作品の中には細部に亘つたリアリステイツクな描写とロマンテイツクな□□人道主義的な感激とが互にエフエクトを強め合つてゐます 最後の一段が我々の心を打つのは決して偶然ではありません それから「死」も読んでごらんなさい あれは甚陰気な作品ですが その陰気な点を息がつまるやうな局所まで押しつめて行く手腕は立派なものです 殊に『死刑』の所より死刑に立ち合ひに行く途中の描写が甚要領を得てゐるのを見落としちやいけません たとへば主人公の細君が指の骨をならしながら家の中へはいる−−そのやうな 極めて単純な一行が 如何に有効な一刷毛を全体の灰色の上に塗つてゐるか注意してごらんなさい「白」も亦顔も形も見えない女が不思議な□をする□□□な心もちを狙つた手際もさすがにリルケです 唯少し作りすぎた嫌いのあるのは遺憾です 講席としても は(ママ) 最後の二三行(リンデンの花が落ちる所)が 如何にも気がきいてゐると思つた記憶があります ジユリアンや歯痛があなたに面白いかどうかは疑問だが両方とも−−殊にジユリアンは立派な作品だから読んでごらんなさい あゝ云ふ題材をあゝ云ふ風に書きこなしたのでは 日本は勿論西洋にもあれ程の傑作は少いやうです 以上一向とりとめのない事ばかりですが、あなたの批評眼を養ふ上に於て幾方でも利益があればよいと思つて書きました」(mainichi.jp/select/today/news/20090528k0000m040143000c.html?inb=ff)

で、かたや美談の一方でこなたは、医療のヘゲモニーをめぐる専門家のアグリーな発言、こちらは気分が損なわれるね

龍谷大学京都市伏見区)では突然の要請に、学内で話し合う間もなく措置を取らざるを得なかった。18日に開かれた府との事前協議では休校要請について触れられなかったが、22日未明には府から「午前2時現在で12大学・短大が休校措置を決めた」とのメールが届き、焦りを募らせた。/府は「大学は学生の通学範囲が広いので、早めの対策が必要不可欠だった」と説明する。同大学では独自に対策本部を設置していたが「医学部がないので自信を持って判断できなかった。府の要請で他大学が動いてしまうと、流れに従うほかなかった」と振り返る。/一方、京大では4月、医学部などの教授や准教授ら6人で専門家チームを設置。府から要請を受ける一方、同チームで独自に毒性や流行の範囲・規模などの判断基準に照らした結果、「休校措置は現段階では必要ない」との結論に達した。/京大保健管理センターの川村孝所長(54)は「府が十分に専門家の意見を聞かず、休校要請したことで混乱した大学もあるだろう。医学系の専門知識がない大学では的確な判断が難しい」と指摘。「今後、府内の大学が自主的に判断できるよう、情報交換を行う必要がある」と話した」(headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090528-00000559-san-soci)。