巴里からの手紙、巴里への手紙

 元気そうでなにより。
 たぶんネットなどでご存じのように全世界的な心理的病いである「経済不況」により周りでは不景気な話ばっかりです。まだ誰も飢え死にも民衆暴動もないのにねぇ――革命ないしは千年王国運動の兆しはまだなし。
 というわけで私の趣味の読書は行動経済学の本ばかりです。そこには、いかに人間が経済非合理的であるかという実証データがずらりとあります。しかし、経済学や経営の人は、西洋的自文化中心主義の住民なので、データの解釈にはまだわてら人類学のほうが「より適切な」ものができると、読む度に思います。
 図書館の虫になることは大いに推奨しますが、市井の人とあいまみえてコミュニケーション力を養うのも一考かと(知識人とは違うディスタンクションの世界も楽しむべし)。
 海外特別研究員はいいですね。故・今村仁司さんも官憲に追われてパリに長期滞在――というかバリはコズモポリタン・エクザイルの解放区ですからね――して、オリジナルな社会理論を立てたと言われていますからね。
 とにかく◎◎◎など研究費はとたんにけち臭くなったので、私のパリ訪問はまだ先になると思いますが、なにか研究費当てた時には、どうかお上りさんのアカデミック観光ガイド――私は憧れのツベタン・トドロフ先生に会いたい!――よろしくお願いします。