コンビニ受診は、コンビニ診療態勢が生んだ宿痾である
コンビニ受診という「用語」が流行っているらしい。その「事態」を憂慮する医療者とマスコミが造った言葉らしい。
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「コンビニ受診とは、一般的に外来診療をしていない休日や夜間の時間帯に、救急外来を受診される緊急性のない軽症患者の行動のこと。／「平日休めない」や「日中は用事がある」、「明日仕事があるから」等を理由とし、夜間や休日に重症者の受け入れを対象する救急外来を受診をする行為を示す。／病院はそもそも日中外来を行っている時間帯に、外来患者を診るように人員を配置している。また救急外来は少数の重症者の対処に特化しており多数の患者の診療は困難であることが多い。／来院者は専門医による高度な診療を希望したり、その場で結論が出るように高度な精密検査を要求することも多い。しかし休日・夜間の時間帯にこのような検査をするための人員を確保していない場合が多く、対応に苦慮するケースも多い。モンスターペイシェントと化す場合もある。／このような患者が増えることにより、重症な患者の対応が困難になったり、入院中の患者の急変に対応が困難になったり、医師が休養がとれず翌日以降の診療に支障を来したり、疲れ果て医療現場を去り医療崩壊の原因にもなったりしている［出典ウィキ］。
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ずいぶん患者一般を穿った表現である、著者は医療関係者か医療ジャーナリストだろうが、この記述は、それなりに面白い。この文章のメッセージはなんだろうか？メタ抽出してみよう。
（１）医療機関は患者の病状に応じて「適切で荘厳な医療」を行うところであり、コンビニのような安っぽい小売施設ではない。
（２）医療機関――とくに救急外来――をコンビニ感覚でつかう不埒な患者がいる。
（３）医療機関がギリギリの資源配分をおこなっているので、コンビニ受診患者は、医療の秩序を崩壊させる。
（４）コンビニ受診は、情況が悪化すればモンスターペイシャント（これもなかなか怪物を穿った表現ではある）を産出するので潜在的危険性をもつ。
（５）コンビニ受診は、医療者関係者（その主役は医師らしい）を疲弊させ、ひいては日本の医療をだめにする。
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それに対して、医療関係者は、コンビニ受診の現場での拒否（しかしこれは重篤と見分けるために、まず診察しないとならないので基本的に選別は難しい）、社会啓蒙活動などをおこなっているが、どうも後を絶たないらしい。
医療費の自己負担率をあげるか、救急車の有料化ないしは保険料による一部負担を導入すれば、コンビニ診療はある程度抑制されるだろうが、そのようなネオリベ改革は現今の日本では嫌われるらしい。そのようなジレンマが、コンビニ診療という、患者からみればいささか感情を逆撫でするような、道徳の言語で語られる。
コンビニ受診の問題をより深く考えるには、その種の問題患者がどのような動機で、どのような基準でコンビニ受診しているのかという実態の解明が重要なのではないか？
ところで、３時間待って５分［以上］診療という実態は、こちらはこちらでコンビニ診療と言えないだろうか？――むかしは３時間待ちの３分診療と長い間言われ続けてきたが――こちらはほとんど社会問題化されず（いやずっと問題でありつづけているのだが）というのは、患者の立場からすればむしろ改善してほしいのはこちらのほうである。
コンビニ受診という非難言語を使い続けることは、「私はコンビニ受診などしていない」というサイレントマジョリティからは冷ややかに扱われるだけで、問題の根本解決には繋がらない。
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モンスターには下記のような情報もある。◎ゴールドと◎シルバーの仮面対談である。
「モンスターペイシェントってほんとにいるの？
◎ゴールド 何がモンスターかもわからなくなるくらい、日常茶飯事（笑）。2人で夜勤してて、ナースコールが鳴りやまないくらい忙しい時に、病室に行くと「寒いから布団を首まで掛けてちょーだい」とか。「アンタねぇ、さっき自分で歩いてジュース買いに行ってたやないか！」って叫びたいのをこらえて掛けてあげるしかないんだけどさ。
◎シルバー あるある。ナースコールで呼ばれて行くと「体温計が落ちたから拾って」とか。彼女は直前に、自分でトイレに行ってたし。あと、背中に絵が描いてあって、やたらに威張る人がいた。「ケータイの電池が切れたから買ってこい！」って。それはご家族に……って言うと「オレには家族なんておらんのじゃ！」って凄んだりして。ほとんど毎日女の人がお見舞いに来てたんだけど。あの人は何？ 愛人？って感じ。でも、モンモンな人を言いくるめる自信ないし、空き時間に買いに行ってあげたわよ。
◎ゴールド そっち系の人でも、立場が上の人はむしろ礼儀正しいし、看護師に配慮してくれるんだけどね。その人はきっとチンピラなのよ。
◎シルバー そうそう、前に勤めてた病院で、長期入院してた有名演歌歌手が治療費踏み倒した伝説が語り継がれてた。入院中はマスコミの取材とかもあって大変だったのに、退院すると「オレが入院したおかげでいい宣伝になっただろ」って入院費を払わなかったらしい。その人はもう亡くなっちゃったけど、遺族も踏み倒すつもりみたいね。もう何年も前の出来事だけど、未だに払ってないらしいから。さすが有名演歌歌手だけあって、モンスターの先駆けね。
◎ゴールド あとさ、ちゃんと治療してても、自分の思い通りの結果にならないと、すぐに「訴えてやる！」って騒ぐ患者が増えたよね。最近は医療ミスで裁判になると、けっこう病院や医師が負けるから始末が悪い。こっちは一生懸命やってるのに。
◎シルバー とくに手術が近い患者は、医者に文句言うと怖いから、看護師に当たるのよ」。
出典：promotion.yahoo.co.jp/charger/200812/contents01/vol25_03.php
