夜警国家ならびにその代理執行機関=自治体を信用してはならぬ

mitzubishi2008-08-14

在外日本人(日系人)への被爆者手帳の交付をめぐる訴訟で、自治体が控訴したことについての読み方。桝添厚労大臣と官僚との齟齬、ないしは国会議員(大臣)と官僚との齟齬、夜警国家の一貫した政策(=官僚と自治体)と国民に対する国家役割の新しい考え方(=桝添ないしは国会議員)との齟齬・・・・。フーコーが言うように、国家の専横に対しては、民主主義にもとづく国民主権を主張するために法制度による繰り返しの要求が必要だが、「それだけでは充分ではない」ということか。
廣島県の行政担当者に抗議したい。被爆者の人権擁護の範囲は全世界に広がることを、廣島人民はこれまで半世紀以上にかけて世界に主張してきたのではないのか?――国家が訴訟を断念したにもかかわらず、県が却下した(=人権侵害に停職した)ことや、厚労省役人の圧力に屈して(=天下りとしての県職員は一蓮托生か?)控訴することを、人道に対する罪として認識してほしい。
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「ブラジル在住被爆者の被爆者健康手帳交付申請を却下した処分を違法と認定した広島地裁判決を不服とし、県は13日、広島高裁に控訴した。記者会見した県健康福祉局の糸山幸一・総務管理部長は「厚生労働省からは法定受託事務全般への影響を考え、控訴してほしいと強い要請を受けた」と明かした。救済を求めてきた支援者は批判の声を上げた。/糸山部長は「高齢化する被爆者の方々を思うと悩んだ」と釈明。国が控訴せず、県だけが訴訟を継続することに歯切れが悪かった。/訴訟を支援してきた豊永恵三郎さん(72)は「(海外から申請が可能になる)改正被爆者援護法が間もなく施行される時期に控訴することはない」と憤った。田村和之・龍谷法科大学院教授(66)は「厚労省の言うがままに控訴したのだろう。情けない話」と切り捨て、「受託事務は自治体が最終的に判断権を持っている。(控訴で)むなしい争いをさせられる」と語った。【上村里花】」(mainichi.jp/area/hiroshima/news/20080814ddlk34040458000c.html)。
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「【共同】被爆者本人が来日しないことを理由に、広島県被爆者健康手帳の交付申請を却下したのは違法として、ブラジル在住被爆者男女の遺族が処分取り消しや計三百三十万円の国家賠償などを求めた訴訟の判決で、広島地裁(能勢顕男裁判長)は七月三十一日、手帳申請の却下処分を取り消し、国に計百六十五万円の賠償を命じた。/能勢裁判長は判決理由で「国内に居住しないことのみを理由として申請を却下した処分は、裁量権の乱用で違法」と指摘。「被爆者は国の通達で法の保護の外に置かれた」と述べ、国は精神的損害の賠償義務を負うとした。/手帳交付申請の際、在外被爆者に来日するよう定めた「来日要件」の合理性が焦点。六月成立の改正被爆者援護法では、この要件は撤廃された。/判決は「来日要件」について「一定の合理性があるが、一切の例外もなく求めるのはあまりにも形式的だ」とした。/訴状によると、男性は長崎、女性は広島で被爆後ブラジルへ移住。二〇〇六年三月、弁護士を通じ交付申請をしたが、広島県は却下した。男性は提訴直前の〇六年、女性も翌〇七年に死亡した」(www.nikkeyshimbun.com.br/080802-74colonia.html)。

ニッケイ新聞(ブラジル)
http://www.nikkeyshimbun.com.br/index.html