ガザニガ・ザリガニとオリバー・ソース・サキソフォン

mitzubishi2008-06-16

マリノフスキーの未開人の性生活を読んで、ガザニガ『脳の中の倫理』を読む。
ガザニガの新刊書は薄っぺらい議論の集積である。人畜無害な右脳左脳ならしもともかく、宗教の話や、ソクラテスの側頭葉てんかんなどの話などを嬉々として引用するあたりは、パーティージョークのつもりだろうが、あまりにも品がない。無味乾燥気味のマリノフスキーの1世紀ほど前のトロブリアンド島のセックスライフの記述に関する無味乾燥気味の観察と論考のほうが面白く感じてしまう。
もちろん、現代文化人類学のセンスにもっとも近いのは、オリバー・サックスだろうか。
国家の品格ではなかろうが、書物の品格がどんどん薄れてゆく。ヴァルター・ベンヤミン流に、人間は退歩するということだ。