2つの報道*ALS(筋委縮性側索硬化症)関連

「 【ワシントン=増満浩志】全身の運動機能がまひする「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の症状の進行を遅らせることに、米カリフォルニア大サンディエゴ校のドン・クリーブランド教授らが動物実験で成功した。/研究チームは、SOD1という酵素が異常だと、これが脊髄(せきずい)にあるミクログリアという免疫細胞を傷つけ、ALSの症状の進行につながることを解明。この酵素の生成に働く特殊なRNA(リボ核酸)を阻害する物質(アンチセンス)を合成した。/アンチセンスを、ALSの症状を人工的に発症するようにしたラットの脳に生後65日で注入したところ、ラットは生後95日でALSを発症した。通常は平均で発症27日後に死亡するにもかかわらず、アンチセンスを注入した場合は、症状の進行が遅く、平均で37日後まで生き延びた。(2006年7月31日 読売新聞)」(www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060731ik0a.htm?from=goo)
※この報道によると、ラットは、代謝障害によって生まれるようで、なんらかの遺伝性疾患を示唆するように推測される。

「筋肉マヒする難病、悪化原因の細胞特定/運動神経が衰え、全身の筋肉が徐々にマヒする難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の症状を悪化させる細胞を特定することに、理化学研究所の研究チームが、マウスを使った実験で初めて成功した。/ALSの進行を防ぐ治療法の開発につながる成果で、4日の米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」(電子版)に掲載される。/特定したのは、脳や脊髄(せきずい)にある「アストロサイト」と「ミクログリア」と呼ばれる2種類の細胞。ALSの進行にかかわっていることがわかったのは初めて。(2008年2月4日 読売新聞)」(www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080204-OYT8T00199.htm)
※この報道はちょっと不親切だ。アストロサイトもミクログリアも、特殊な細胞というわけではないが、括弧付きだと、なにか特異な細胞が発見されたかのような印象をもたらす。しかし最大の問題はすでに先行研究のある、代謝障害とこれらの特定の細胞の活動の関係について一切説明がないということだ。記者の知性が疑われる。