プラスチック・ナーヴァス・システム

ハシー工業 御中
 はじめてお便りします。
 アマゾンジャパンを通してcranial nerve skull anatomy model を購入しました。
 頭蓋骨上部と本体へのフィットが悪いのでちょっと不細工ですが、細部はきわめて精巧で製品に概ね満足しております。
 ただし、身体部の解剖にくらべて、やはり小さくてかわいらしい点がちょっと安っぽく見えます。
 そこで照会とお願いなのですが、より大きく頭部を表現した類似の玩具はございますでしょうか、また、もし、次回に商品を開発する場合には、是非、より大きめのもの(最低1/4実物は欲しい)を企画してくださるようお願いします。
 今後とも御社が知育に関する優良な玩具を開発しつづけてくださることを大いに期待しております。
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J.D.ワトソンのライティングを分析したE.C.フリードバーグの著作に、シドニー・ブレンナーが序文をかいているが、そのブレンナーについてググった結果あたったページ。
以下は引用。最後の一文が冴えている。いいエッセーだ。
「最近、ある場所で昨年のノーベル賞受賞者シドニー・ブレンナー博士の講演を聴く機会があった。 脳・神経系シンポジウムでの講演であったが、実際にはこれからの生命科学研究をどう進めるかという様な内容であった。/しかし、私が興味を持ったのは、そもそも何故ブレンナー博士が受賞に価するような研究ができたかという事である。 以前に本で読んだことだが、多くの人が原核生物分子生物学を競争して進めていた1960年代の初め頃、彼はいずれ脳神経の機能や発生現象の解明を行いたい。 その為には遺伝学的な研究が可能でなおかつ神経組織を有する単純なモデル生物が必要だと考え、線虫を選んだらしい。 その後、彼が線虫のミュータントを多数単離してモデル生物としての有用性を発表したのはご存じの通りである。 今でこそ線虫の分野でもブレンナー博士の孫弟子や曾孫弟子が日々競争を繰り広げているが、当時は数人が牧歌的に研究を進めていたのだろう。 その成果が数十年後にノーベル賞受賞へと結びついたのである。 受賞したのは本人と古参の弟子(共同研究者)のうち2人である。/彼が展開した研究に、真に独創性の高い研究を成し遂げるヒントがあるように思う。 誰もやっていないアプローチ(競争がない)を考えて、目標設定を遠くに置いて進む。 後はそれに続く人がやってくれる。 未開の荒野を切り開くだけでは駄目で、それが大きな道にならなければならないのだ。 「私の仕事は独創的で重要だ。しかし、難しすぎてあまり理解されない(ので引用されない)」とぼやく人がいる。 が、それが種になって将来幹ができる様な研究は、やはり最終的にある程度引用されて認められる事が多いのである。 一方で、NatureだCell だScienceと騒ぎながら、時流に乗った研究を猛進させる(前傾姿勢で)だけでは独創的な研究は達成できないであろう。 しかし、こういう雑誌にコンスタントに発表すると外国から講演に呼ばれるし、研究費は獲得しやすくなる。 学生やスタッフのキャリアになるし良い事が多い。 ただ、自分の胸に手をあてると、これをやっているだけではなんとなく虚しさが残る(虚しくならない人はそれでよし)。 やはり、暇な時間をつくって、何をなすべきかじっくり考えることが必要なわけである。/おい君、そこの学生、だからといって今日の実験はさぼるなよ」(www.med.nagoya-u.ac.jp/Yakuri/whats_kaibuchi_ken/kaibuchi_page/hitorigoto-6.html)。