ヴァルガス・リョサ講演の思い出

mitzubishi2014-03-29

【同一言語にも驚くべき多様性を教えてくれたヴァルガス・リョサ
 数年前、ジョサの講演を聞いたけど、右翼・マルケスへの嫉妬などいろんな風評があったのだが、ノーベル賞をもらった余裕から数年たって老大成していたのか、じぶんのスペイン語内での言葉の多様性――幼年の故郷の言葉、リマの寄宿舎での多言語状況、そしてリマの都市の人々の多様な「スペイン語自身の豊かさ」――についての講演がすばらしかった。それよりも興味深かったの(同時に残念だったの)は、イベリア半島から来た留学生なのだろう――アクセントでまるわかり――若いと馬鹿なのとラテンアメリカを知らないのだろう、ジョサの講演に集中できなくて私語が五月蝿くまたその内容が極低レベル(どうも金持ちのボンボンなのだろう)。そして某帝大先生で(マルケスのほうだが)名翻訳で知られる「通訳」が、ジョサの「言語<経験→(経験)’の生成」という観点をぜんぜん取り落として、表面的な正確な翻訳に徹してらっしゃったので、ジョサの内的経験と回顧についての面白さを落とし気味であったこと。これは残念だった。だが「緑の家」で彼に惚れて以来、積年の思いが実ったので、あの時の講演は忘れられない。