医療人類学は未成年者禁煙運動に学術的支援は可能か

【禁煙運動で最重要かつ有効な手だては未成年者禁煙への積極介入】
――医療人類学は未成年者禁煙運動に学術的支援は可能か?
 消費動向や習慣化の弊害、精神的未成熟と嗜癖傾向などの観点から、禁煙運動で最重要かつ有効な手だては未成年者への禁煙行動という社会的介入だということを専門家の先生からかつて教えていただき、眼から鱗の経験があります。たしかに、未成年は吸わないはずだから、喫煙は「補導」の論理で役割分担されてしまっていて、真正面から国民の重要な健康問題だとみなされていないからです。またJTをはじめとする政府系の「健康被害製造産業」が、その実態を放置するという「無作為」という困った現象があるからです。そして医学界の取り組みの弱さです。治療医療中心主義の弊害で、健全な公衆衛生の論理が日本社会に根づいていないということがあります。
 未成年喫煙防止プログラム「あなたはたばこを吸いますか?」実施マニュアル(指導者用)平成16年3月埼玉県(pdf)を拝見すると、説明がメチャ科学的ですね。マスで啓蒙するには、この方法しかないかと思いますが、資本主義社会の実際――べつに日本のタバコ産業と農政との癒着とか厚労省との力関係の権力分析までは要求しませんが――や社会的正義の実践、さらには、産業界が現代社会に撒き散らすハザードからの「1人ひとりの健康権を守る」というふうな発想の陶冶もこれから必要になるかも。「未成年者禁煙外来」のページを提供しているのが民医連系のサイトだし、その説明も「依存症」で説明する――まマルクス派の唯物論は俗物の科学主義ですから――というものですし、「医療の科学化」の割に「医療の社会化」は日本ではまだまだで、これから奮励努力しなければならないという次第。