大工のトマス

三十年も昔、僕が住んでいたドローレス(実名)の村で、布教にきた牧師に心を開き、一番最初にプロテスタントに改宗したのは、村で唯一一軒の大工のトマス(実名)だった。フィールドワークをはじめて、古びたベッド(それもマットレスがない)以外、家具も何もない部屋で、僕は、大工のトマスに、机と椅子の作製を依頼した。でき上がった地元の若い松材でつくられたとてもしっかりした机と椅子は、松のとても良い薫りがした。僕は家具は(イエスの仕事であった)大工のプロテスタントに限ると、わけのわからない一般化をして、とても満足した。あのトマスは今、元気だろうか?