村上靖彦先生の「摘便とお花見」医学書院、出版!

このたびは、素敵な題名の御高著「摘便とお花見」を御恵与いただき誠にありがとうございました。
ちょうど、僕らの分野の大先達の前山隆先生が随分前に上梓された『ハワイの辛抱人』という福島県の移民の聞き語りを見ていたところだったので、しばしば、並行しながら、語りの部分だけをよんで、ふむふむと思って読んでいました。(前山先生のものは前と後ろに若干のノーツがあるだけで、ほとんど、ベタな語り中心のものです(話者の語りは英語から影響を受けたピジン化した日本語なので、その用語法に関する短い欄外注があるが、これが秀逸)。語りには、それ自体でなんか人を巻き込む変な魅力がありますね。僕は第1学期に医療人類学のセミナーで最後に社会学者のアサー・フランクの本を読みましたが、偉大な彼もまた、語りを分析して「効用」や「分類」「機能」などを抽出といういう、プロップの形態分析にルーツをもつ、語り分析の「大きな伝統」のなかにいるような気がして、いろいろ考えさせられるものがありました。
一昨年から、解釈や語りを、どちらかというと、文学研究からインスパイアをうけて、模索していますが、まだ暗闇の中です。そのような状況でしたので、村上さんの本は、こりゃ、みんなで真剣に取り組まなきゃならないと思った次第です。
◎医療と翻訳
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/120522iryouHonyaku.html
◎翻訳の社会的問題
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/130503trans00.html
◎病いの語り
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/130518IllnessNarrative.html