リビング・ウィル(生前の遺言)

【私のリビング・ウィル
赤い棺桶はカッコイイ?!――いやいや、僕にはどうでもいい。安っぽい段ボールのものでいい。遺灰の汚染の原因になる、副葬の遺品の投入も謝絶だ。灰は(違法行為だが)花壇のカルシウム補給に少しずつ使ってくれ。遺体が根元に埋まる桜は綺麗だというぢゃないか? そうして撒き終わった時点で、僕が生きていたことをきれいさっぱり忘れてもらってもいい。僕の、そういう葬られかたもまた生き残る人たちへの我が儘だから、本当は、どんな棺桶でも埋葬でも別にどうでもいいのだが、金のかかることが故人のために良いというどうしようもない馬鹿のために、この忠告を遺しておきたい。