大学の内と外

ABCの浦川キャスターが、資金供給量(マネタリーベース)での黒田日銀の政策を面白く解説していた。そのなかでのキーコンセプトは、(1)低金利が市井の人を刺激してローンを組むようになる、(2)近未来での金利の上昇を見込んで消費が浮上する、ということだった。ここまでは意味が分かるし、そうだろうと思う。でもこれだけだったら「異次元」の意味もわからない(英国紙では aggressive と表現されている)。そこで最後にキャスターが言った「(企業家が)ひまわりも買いましょう、ということになる」で、僕は氷解。なんじゃ、これじゃ古典派経済の景気循環と恐慌という枠組で考えればいいわけだ。そうすると、マンモスうれピッ?!になるのかは否かは、日本の社会の経済的安定と、東アジアの安全保障が確保されているという「外部条件」というか「経済的環境」があるからなんでしょうね。だとすると会議では「そういうことはないことにしよう」あるいは「それを考えるのは俺達の仕事ではない」というよく聞く台詞が、ないしは暗黙の合意があったことなのだろう。経済中心的に物事を考えることの限界――より積極的には愚行――を考えてしまった。適当な本を書いて日経新聞社から表彰されること(=大学の中での戯れ言)と、現実の世界を泳ぎ切ること(=銀行員にブー垂れながらローンを組むこと)の間の圧倒的な落差、当たり前の現実を「(ゴッホの)ひまわりも買いましょう」という台詞が教えてくれた。