国立大学の授業料無償化について

 国立大学の授業料無償化の意見に、優秀学生の親の所得水準が高いから、原則賛成で、保護者の所得水準にスライドすべきとの意見が来ました。私は、全員無料化のほうが、正論だと思い、反論を考えてみました。
 経済格差については、こう考えてはどうでしょうか?:
(1)制度としての格差是正(=ビンボー人の賢い子供に就学のチャンスを与えるという)正論と、実態としての経済格差(=学習塾などのエクストラの受験教育により金持ちの餓鬼のほうが偏差値が高くなる)を混同してはならない。金持ちの経済負担の軽減率(=現行の国立大授業料/親の総所得や保有資産×100)と貧乏人のそれを比較すると、後者のほうが恩恵を受けるはずだ、という功利計算すれば、この措置は社会的公正を実現するに値する。
(2)また「入学者の所得格差による無償を含む授業料スライド」制度に関しては、それを導入すると、判別のラインの前後で逆格差が生じるので、景気浮揚目的の一律配布のクーポンと同じ発想で、利用者に選別はしない(=平等原則がくずれる)。
(3)そもそも、保護者の所得水準という発想が、大学に自律した個人が入ってくるという発想が欠落していると思います。一定の蓄えをして再度学びの門を叩く、社会人やリタイアしてももっと勉強したい人たちに、このことの門戸は開かれているでしょうか?営利を旨とする私立大学と、公設の大学(とりわけ国立の大学)には、異なった発想を持たせるべきです。