Warne Marsh

Jazz of two cities

【5人目】
Warne Marsh ですが、この人はアート・ペッパーとならんで私がコンプリート(コレクション)――リーダーのみならず演奏で参加しているものを含めて録音源を全部収集するもの――を決心した人の1人です。イントゥイション(直観)とは言いえて妙なアルバムですが、これは後から、レニー・トリスターノとウォーン・マーシュをまとめて編集したものですが、冒頭の曲Smog Eyesを含めて、マーシュのjazz of two cities (写真)からアンソロジー吸い上げたもので、さらに盲目の鬼才ピアニストのトリスターノを聞けるので、お得なアルバムです。
http://www.amazon.co.jp/Intuition-Lennie-Tristano/dp/B000005H6T/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1356228457&sr=8-1
で問題は、なぜこの2人の組み合わせなのかというとなのですが、いわば師弟関係(トリスターノが師匠)なのです。
でこのアルバムを通しで、ずっと聴いていると、トリスターノのピアノの良さがどんどん伝わってきます(トリスターノはジャズファンのなかで、評価がものすごく別れる人ですが、聴いてみて現代芸術への近さを感じさせる人ですね)。
ところが、そのように無批判に聴いていると、jazz of two cities の収載分の前半のトラックも、トリスターノだと誤解してしまうのですが、これが大間違いで、このトリスターノと見まがう(=聴きまがう)ばかりのピアノは Ronnie Ball というトリスターノよりも若いピアニストなのです。ロニー・ボールもまたトリスターノを師匠とするいわゆるトリスターノ派のピアニストの1人だからというのが、その絡繰りです。ロニー・ボールも、トリスターノの弟子という色眼鏡でみるのではなく、数少ないリーダー・アルバムなどやサイドマンとして聴いていると、トリスターノ流の演奏の幅を拡げたという意味での音学家としての十分な功績はあるのではないでしょうか。
(テナー)サックスのマーシュですが、トリスターノ弟子には(アルト)のリー・コニッツがいます。この2人は、アート・ペッパー亡き後の西海岸ジャズのユニークな演奏家ですが、この路線にハマると、リラックスしたなかに、ものすごい楽しいスゥイングする演奏が陸続と見えてくるのが興味深いですね。