病人のロールモデルの変化だけで医師と看護師のそれも変化する可能性

【病人のロールモデルの変化だけで医師と看護師のそれも変化する可能性?】
つまりこういう発想なんかどうだろうか?:がん患者の自殺統計とその年次変化(つづき)
「がん患者の自殺率は一般人口に比べて有意に高く、がん患者の自殺率は概ね0.2%程度であることを示している。1994年に報告されたメタアナリシスの結果からは、がん患者の自殺率は、一般人口に比べて1.8倍有意に高い」(0803_4448.pdf)。しかし、この論文の主張の著者の言うように、緩和ケアがないからうつになり死亡というのは根拠がない憶測ような感じがする。やはり、がん告知があって「がんサバイバー」になって、どの時期に死にやすいのか?また、その時期はがんの「疾患別多様性」にマスクされて分析し難くなっているのか否か、などの子細な検証が必要ということになる。つまり著者のいう「、緩和ケアやこころのケアの重要性」の浮上の主張は最初から論点先取のような気がする。
むしろ、がん告知のトラウマと日常的ケアの中での「苦悩の飼いならし」のほうがテーマ的には、重要な感じがする。しかし、PTSDなんかの予防と称される、デブリーフィングのテクニックが、それほど有効かどうかという話しもある。The Debate over Psychological Debriefing for PTSD, by Injae Choe, The New School Psychology Bulletin Volume 3, No. 2, 2005, says, "Fortunately, the vast majority of these trauma-exposed people do not go on to develop an acute, chronic, or delayed onset PTSD, attesting to the protective resiliency prevalent in the normal population"(pp.71-72)(34-128-1-PB.pdf)。また日米の比較だと、米国のほうががんでの自殺率が高いようだ(13_1_hukuyama.pdf)だから、心理的な面でもしっかりしている米国の医療というのも怪しい主張になる。
だから、問題は、むしろ、緩和ケアの時代になってから以降の、病人のロールモデル――これは文化的に「現地人」がそれを非自発的に学んでいくと想定――の変化、と医師や看護師のロールモデルの変化、つまり、このトアイアッドなゲームのひとつのプレイヤーでも性格が変わると、残りの2つも変化するのではないかということです。こういうことを民族誌的に明らかにすることができないか?
てなことを妄想しています。