パリンプセスト(palimpsest)

palimpsest】た複雑な関係を取り持つ。例えば18〜19世紀の記録によると、高い商品価値をもつクロテンを得ようとしてロシア帝国政府が毛皮税賦課という目的で、シベリアにいるエヴェンキツングース系民族)に対してその狩猟を「強制」するという事態がおこった。無益な殺生を嫌うエヴェンキは、クロテンを含む動物霊に最大の敬意を表して犠牲になった動物の「まなざし」が狩猟者に向けられないように手の込んだ儀礼を守っていた。この犠牲動物を忌避するエヴェンキ心理的態度(エートス)が、ロシア人との付き合いにも反映されて「沈黙貿易」という直接交渉がない交易が行われていた。しかしながら、このエヴェンキの態度が、文明人という自意識をもつロシア人には偏見に満ちた「野蛮」や「奇習」というものにしか映らなかったのである【黒田2001】。