ファン・ヘラルディ神父

しかし和平合意後の1年4ヶ月後の1998年4月に起こったファン・ヘラルディ神父(Juan José Gerardi Conedera ,1922-1998)の暗殺がおこる。ヘラルディ神父は、虐殺の事実関係の集積と目撃者への聞き取り、さらにはこの歴史的悲劇の検証をおこなった歴史的記憶の回復プロジェクトであるREMHI (Recuperación de la Memoria Histórica)を指導したグアテマラカトリック司教である。「歴史的記憶の回復」4巻本の“Guatemala: Nunca más” を公開した2日後の1998年4月26日グアテマラ市のサン・セバスティアン教区教会の敷地内で暗殺された。犯人グループの検挙、訴追とその審理は2001年から始まるが、再審請求中の受刑者の1人が刑務所内で殺害されるなど、現在にいたるまで不明瞭なことが多く、およそ真相が究明されたとは言いがたい状況にある。その翌年、和平合意での改革のアジェンダを含んだ1999年5月の憲法改正国民投票での信任が否定されるという事態にまで到る。