全文引用……(プレプリント草稿版)

全文引用……(プレプリント草稿版)
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大会会長あいさつ(日本保健医療社会学会ニュースレター)より引用
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大阪大学豊中キャンパスで開催される第37回日本保健医療社会学会の開催(5月21〜22日)まであと4ヶ月ほどに迫ってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて近年では天災や天候不順が続き、温暖化を含めさまざまな「黙示録ふうの語り」が我々の何気ない会話やネットワーク上のSNSなどにしばしば登場することはご承知のとおりです。これは双方向情報のグローバルレベルの流通の増大と同時に人々が手軽に世界に向けて情報発信できるようになった技術的発展によるものではないでしょうか。他方、医療・保健・看護・介護・福祉の現場とその実践教育に眼を向けますとメディアの技術的発展への対人関係へのまったく逆の方向の現象をみることができます。つまり「よりリアルな手触りをもとめたコミュニケーション技術」の必要性が現場でもまた国民の期待としてもますます説かれるようになってきています。こちらの対人技術(技法)はインターネットのような普遍的技術化へ収斂してゆくのではなく、保健サービスを受ける当事者とその環境の多様な状況に対応するテーラメイド的なカスタマイズ化が求められるという方向性をもっています。具体的に言い換えれば、より微細な現場での観察とフィードバック、新旧の身体技法の変化に伴うより深い歴史社会学的考察、法的権利主体性の患者や障害者とパターナリズム(マターナリズム)的ケア原理との「対話や交渉」、グロバールヘルスという一般化とローカルな専門職集団の権益との葛藤など、具体的で実践的、なおかつこれまでの保健医療社会学的研究の守備範囲を大きく超えるチャレンジングな課題が陸続と登場しつつあります。
 本大会は「拡張するヘルスコミュニケーション」というテーマを掲げ、従来の保健医療コミュニケーション教育以上に広がりをもちつつある「疾患対策をめぐる」現場からの具体的な報告をいただく大会シンポジウム、演劇の現場から逆に医療現場における「対話」の意味を照射・再考していただく劇作家(大阪大学教授)の平田オリザさんの講演、そして対人援助、ケアと看護、質的研究、国際保健人材養成、キャリアデザインという多様に広がるヘルスコミュニケーションの課題について取り組むラウンドテーブルディスカッションなど、本学会ならでは、多様な専門領域からの取り組みが見られるものであると期待しております。是非とも会員の皆様におかれまして、本テーマに関心を持たれる職場の非会員の皆様、あるいは大学院生ならびに学部学生の皆様にも本大会への参加をお勧めくださるようお願い申し上げます(本学会への麗しい伝統として発表を可能にする単年度会員制度などもあることも「本学会への魅力」であることをお伝えすることもお忘れなく!)。
 この現代保健医療のもっとも最先端の話題を盛り込んだ本大会の多様性については、大会運営スタッフからもマネージメントの業務の忙しさについて悩むよりも、充実した2日間をどのように時間をぬって参加・発表することができるか、本学会員に「嬉しい悲鳴と課題」をもたらすのではないかと今から危惧しております。準備状況の過程の中でいろいろ至らないところも生じるとは存知ますが、ご忌憚のないご意見をお寄せいただくと共に、本大会の野心的な取り組みに免じて至らない部分に関してはどうかご海容のほどをお願いします」。(2011年1月)