イレッサ問題(ウィキより)

イレッサ(商標)の化学薬品名「ゲフィチニブ(Gefitinib)は、上皮成長因子受容体 (EGFR) のチロシンキナーゼを選択的に阻害する内服抗がん剤。癌の増殖などに関係する特定の分子を狙い撃ちする分子標的治療薬の一種である。……
イレッサ®は2002年7月5日、世界に先駆けて日本で承認を受けた後、2003年5月5日アメリカ食品医薬品局 (FDA) での承認[3]を含め、いくつかの国で承認を受けた。しかし、無作為比較臨床試験(ISEL試験[4]、後述)の結果、プラセボと比較して生存期間を延長することができなかったため、2005年1月4日アストラゼネカは欧州医薬品局 (EMEA) への承認申請を取り下げ[5]、また2005年6月17日FDAは本薬剤の新規使用を原則禁止とした[6]。その後2009年7月1日欧州医薬品局は、後述のINTEREST試験とIPASS試験の2つの無作為化第III相臨床試験の結果をもとに、成人のEGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺癌を対象にイレッサ®の販売承認を行った[7]。2009年現在イレッサ®を承認している国は、日本を含めたアジア諸国、欧州、およびオーストラリア、メキシコ、アルゼンチンである」
■薬害問題としてのイレッサ
「通常は他の薬の審査待ちで、1年ほどの審査期間が掛かるが、イレッサ®の場合は優先して審査したので、5ヶ月ほどのスピード承認となった。当初は副作用が少ないと言われていたが、その承認前には、既に間質性肺炎の副作用のデータはあった。同年7月16日の発売直後から、肺胞の周囲が炎症を起こして酸素が取り込めなくなる、間質性肺炎など重篤な副作用が多発し、死者数は瞬く間に増える。厚生労働省は同年10月15日、イレッサ®との関連性が否定できない副作用26例、うち死亡13例を盛り込んだ緊急安全性情報を発表。その後も死者は次々と増え、その年の終わりまでには180人を数えるに至った。2003年の202人をピークに減少したが、2009年9月末日までの死者の累計は、799人に上ると言われている。症状が進んだ患者で、 1〜2年は延命したケースも実際あるが、これで生き残る患者は珍しい。また、多くの臨床試験で延命効果は証明されていない。イレッサ®使用継続を後押しした、ガイドライン作成に関わったメンバーの中に、講演料などの報酬を、メーカーから貰っていた人がいたのも問題である。」