きょうはケンジ:Je est un autre....

mitzubishi2009-07-21

アイラーは確かにそのジャズで、否定せよ、破壊せよ、と言った。いや、それは単にアイラーだけではなかった。全てがそう言い、そう唱和した。その声を耳にし、口にした者が無傷なまま、このように社会が平穏になり、資本がらん熟し、若向文化が牙を抜かれサブカルチャーとゆ着した今を生きられるはずがない。この社会や文化、状況、を否定するのなら、ファシストにも、テロリストにもなろう。……破壊せよ。状況はますます不利になっている。あれほどあの時、露呈したコードが、法・制度が今はいんぺいされてしまい、ジャズを聴く者に通俗化、風化を強いる。破壊せよ。何もかもためらう事なく破壊せよ。革命とはコードの破壊、法・制度の破壊のなかにしかない。そのアイラーの毒の声は、デビスを聴く私の耳元にあり、エルヴィン・ジョーンズのドラムスの間から耳に届く。アイラー、冬のニューヨークはおまえの死に似つかわしい。」(中上健次『破壊せよ、とアイラーは言った』)。