どうした人権系大学?!_でも考える素材は山ほどある

まず、どうした人権系大学?と揶揄を入れたいところだが、よくよむと適切な対応を大学側がとっている点で、人権系大学の面目躍如とは言える。しかし、これがはらむ問題とその解決は意外とやっかいだ。
(1)男子学生の中傷は、いわゆる犠牲者非難(=被害にあった奴に非があるという類の中傷)を構成するということ。これは人権侵害にあたる。
(2)このような中傷をネットでおこなうことで、いわゆる「セカンド・レイプ」つまり精神上の陵辱行為をおこなっているという問題。当該の男子学生は、そのような意識がない、あるいは「抑制がきかない」ために、ネットでの中傷行為に及んだということ。
(3)これが当該の学生にとって言論の自由への侵害に当たるかどうかということ。自由を保障することと、中傷という加害行為を天秤にかけなければならない。
(4)また男子学生が、匿名で書き込みをしたのであれば、その書き込み者を特定するために、どのような権力が行使されたかということ。
(5)容疑者の所属していた大学の最初の拙速な対応が、ネットユーザーをして、この種の「潜在的加害者」のあぶり出しに対して、道徳的に過剰に反応していないかという点。_RR大学の男子学生は社会から道徳的に非難されて当然だと思うのだが、この学生がなぜ実習を停止させられたのかということについて、深く理解しない限り、取締に対する(みずから犯罪者を擁護するかのような)愚かなネット書き込みが後を絶たないだろう。
[総括]つまりこの問題の解決へむかって、真の対話をすすめるためには、その道のりは(ぜひやるべき価値はあると思うが)意外とやっかいだ。
「KK大の集団準強姦(ごうかん)事件を巡り、大阪府内の中学校で教育実習をしていたRR大経済学部の男子学生がインターネット上の会員制サイトに被害者の女子学生を中傷する書き込みをしていたことが分かった。RR大は不適切な行為だったとして、中学校と相談の上、男子学生の教育実習を打ち切った。/RR大によると、男子学生は1〜19日の予定で教育実習中。KK大生6人が逮捕された翌日の今月2日に「女子学生にも非がある」などとの意見をサイトに書き込み、誰でも見ることができる別のサイトにも転載された。男子学生は事件関係者に知り合いはいないという。/ネット上で書き込みを見た実習先の保護者が3日、中学校に通報して書き込みが発覚した。/RR大では別の学部の女子学生も同様の書き込みをしていたことが判明。大学は2人を面談で指導するとともに、ホームページで人権を尊重した行動を取るよう学生に呼びかけた。【朝日弘行】」(mainichi.jp/select/today/news/20090610k0000e040060000c.html?inb=ff)。
[続報]
【コメント】伝聞推定の内容が多く、また裏を十分にとっていないような報道なので、内容としてはかなりのぞき見趣味が出ている(「スポーツ報知」なので割り引いて読むこと)
「酔って抵抗できない女子学生(当時19歳)を集団で暴行したとして京都教育大の男子学生6人が逮捕された事件に関して、会員制サイト「mixi(ミクシィ)」に被害者の人権を侵害するような意見を書き込んだとして、立命大(京都市)が学生2人を指導していたことが10日、分かった。/立命大によると、2人は国際関係学部3年生の女子と経済学部4年生の男子。ともに立命大生というプロフィル付きで、被害に遭った女性にも非があるなどといった内容を投稿。その直後に学外から電話やメールで問い合わせがあり、大学が2人を面接し、確認した。/女子学生は「お互い泥酔で誘ってきたのは女の子からだとか」「女のせいで将来ある人たちが6人もこんなことになってしまって残念です」などと書き込んでいた。…[略]…立命大は2人に対し、数回、所属学部の教授や大学職員が面接で指導。ともに深く反省しているという。同大広報課は「二度とこのようなことが起きないよう、他の学生も含めてしっかり指導をしていきたい」と話している。/京教大事件に関する「mixi」の書き込みでは、ほかにも、当の京教大と大阪体育大桃山学院大のいずれも男子学生計3人が、不適切な内容を書いたとして大学から注意されるなど指導を受けた」(headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090611-00000047-sph-soci)。