秘密を守るための「いのちの重さ」

◆秘密を守るための「いのちの重さ」について考える教材
【例題1】
 下記の裁判での証人の「発言」について考えよう。拷問で「白状」することと比較して考えてみよう!_議論のポイントは「真実」と「真実がもたらす社会的効果」に焦点化すること。

奈良県田原本町の医師宅放火殺人の供述調書漏洩(ろうえい)事件で、秘密漏示罪に問われた精神科医、崎浜盛三被告(51)の公判が14日、奈良地裁(石川恭司裁判長)で開かれ、調書を引用した「僕はパパを殺すことに決めた」の著者でフリージャーナリストの草薙厚子さん(44)が出廷した。検察側の証人尋問で、草薙さんは「情報源は崎浜先生です」と初めて崎浜被告から調書の内容を入手したことを認めた。/草薙さんは午前10時半、黒色のスーツとコート姿で、1人で奈良地裁に姿をみせた。検察側から「だれから捜査資料を入手しましたか」と問われると、はっきりとした声で、「今まで情報源を秘匿してきたが、今回証言台に立つことで、秘匿し続けるか明らかにするか悩んだ。いまから情報源を明らかにします。情報源は崎浜先生です」と証言。さらに、「崎浜先生、申し訳ありませんでした」と被告席に座る崎浜被告に頭を下げた。/捜査段階で、崎浜被告は草薙さんに調書を見せたと供述。一方の草薙さんは情報源については「命を差し出しても言えない」と、これまで秘匿し続けていた。/【調書漏洩事件】奈良県田原本町の医師宅放火殺人事件で、中等少年院送致となった医師の長男の精神鑑定を担当した精神科医、崎浜盛三被告が、フリージャーナリストの草薙厚子さんに調書を見せたとして秘密漏示容疑で逮捕、起訴された。長男と父親が平成19年6月、奈良地検に告訴。地検は草薙さんも任意で事情聴取したが、取材活動の範囲内と判断、嫌疑不十分で不起訴とした。調書を引用した「僕はパパを殺すことに決めた」をめぐっては、奈良家裁所長が講談社と草薙さんに抗議し、当時の法相が「司法秩序、少年法への挑戦だ」と調査を指示した」(headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090114-00000544-san-soci)。
◇秘密を守るための「いのちの重さ」について考える教材:
【例題2】
他方、草薙さんの本で人々の興味の「餌食」とされた家族の男性の心情について考えよう。ポイントは、「正しいジャーナリスト」――そういうものがいるという前提のもとに――は、なにをどのように読者に伝えるべきなのか?「プラバシーや捜査資料の暴露」と「真実の第三者への報告」というものに違いがあるとすれば、それは何なのか?「報道を通して何を伝えるのが正しいジャーナリストなのか?
ということについて考えてみよう!また、やっていいこと/わるいことについて考えみよう。

奈良県田原本町の医師(49)宅放火殺人の供述調書漏洩(ろうえい)事件で、中等少年院送致となった医師の長男(18)の精神鑑定を担当し、調書などの内容を不当に漏らしたとして秘密漏示罪に問われた精神科医、崎浜盛三被告(50)の第4回公判が17日、奈良地裁(石川恭司裁判長)で開かれた。父親に対する証人尋問が行われ、「できる限りの対応をしてほしいと弁護士にお願いした」と被告らを刑事告訴した経緯について証言した。/記事本文の続き 公判は期日間整理手続きのため中断されており、約6カ月半ぶりの再開。父親の証人尋問は告訴の正否について証明するため検察側、弁護側の双方から申請されており、証言台と傍聴席との間にはプライバシー保護のため、ついたてが設置された。/父親は検察側から供述調書が引用された本の感想を尋ねられると、しばらく沈黙。「僕はパパを殺すことに決めた」という題名や、少年が父親の殺害計画などを書き記したカレンダーが印刷された表紙について「えげつない。ここまで暴露するのかと思った」と答えた。/さらに調書からの引用の有無については、「私の言った内容が引用されており、間違いないと思った」と説明した」(www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/205301/)。
◆関連する参考資料:
奈良県田原本町の医師宅放火事件にからむ供述調書漏洩(ろうえい)事件で、「取り調べに対して取材源を明かした」とする報道で名誉を傷付けられたとして、調書を引用した本の著者でフリージャーナリストの草薙厚子さんがNHKに1000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が[2008年10月――引用者]20日、東京地裁(萩原秀紀裁判長)であった。NHK側は「複数の取材源から確たる証言を得た上で、真実であると確信を持って放送した」と争う姿勢を示した。/またこの日は草薙さんが意見陳述。草薙さんは「どんな仕事でも情報源の秘匿を守ってきた。検察官の取り調べにも『取材源は言えない』と言い続けた」と述べ、NHKの報道が虚偽であると主張した。/訴状によると、NHKは昨年9月、草薙さんが奈良地検の任意聴取に「加害少年の精神鑑定を担当した精神科医に、調書の写しを見せてもらうよう頼んだ」と供述している、と報道した」(www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/188294)。