スレッド・シークエンス法について

あるブロガーにスレッド・シークエンス法についての解説があった。『LW宗教哲学日誌』の翻訳者の解説だと、一書をなすほど大げさなものらしいので、二の足を踏んでいたのだが、新書版をよんだ書評ブロガー氏が次のような解説をしている。ん〜、それでいいじゃないの?!めちゃ、わかりやすい。アマゾンのカートに入れっぱなしで注文しなくてよかった。
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「『ウィトゲンシュタイン 哲学宗教日記 1930-1932/1936-1937』巻末の訳者解説……ウィトゲンシュタインのテキストは独特の内的構造を持っていて、通常とは異なる読み方を読者に要求する。その一つが「スレッド・シークエンス法」である。ウィトゲンシュタインが哲学的思考を展開し、その結果を手稿ノートに書きつけてゆくとき、相互に密接に関連する二つないし三つの主題(たとえば「独我論」と「私的言語」、「数学の基礎」と「規則」)を同時に考え、それぞれに関する思考を交互に書きつけてゆくのが習慣だった。いま交互に登場する主題をスレッド(思考の糸)と呼び、A、Bで表示するなら、ウィトゲンシュタインのテキストの構造は「a1-a2-a3-b1-b2-a4-a5-a6-b3-b4-b5- ……」となる。これをそれぞれの主題の本性に即して読解するためには、まず「a1-a2-a3-a4-a5-a6- ……」と「b1-b2-b3-b4-b5- ……」の二本の繊維に分け、その上でそれぞれを理解しさらに統合するる必要がある。こうした作業の起点になるのが、テキストをパンクチュエートすること、つまり句読点(切れ目)を入れて、「a1-a2-a3」「a4-a5-a6」「b1-b2-b3」「b4-b5」のシークエンスに区切ることである」(出典「不連続な読書日記」)。