ちんちんのほね?あるいは研究者としての成功の意味

チンチンの陰茎骨(内部の軟骨)と外側のトゲ、そして、愛情の関係というのが宮地の説明の面白いところです。
宮地のエッセーは次の点で素晴らしいと思います。
(1)生殖器や性行為のことを動物百科で論じられない理由が、人間様の文化的(=西洋的エトス?)抑圧によるものではないかと示唆していること。これは文化人類学の研究テーマです。
(2)説明は当時の動物学の泰斗らしく博学で優雅だが、アリストテレス的目的論を導いていないか?。これは科学論ないしは科学的認識論における伝統的な研究テーマです。
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/051219arsitotel.html
(3)愛情といってもよく読めばオスの愛情のこと――トゲトゲの代替物としての愛情(愛情があれば性交時間を長くできる?――でもこれは受精を確実にするという生物学的説明としてはナンセンス)――でメスの愛情や感覚についての言及がないという点で男性中心主義と言われても仕方がない。これはフェミニスト文芸批評的研究テーマです。

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いま霊長類学の知人にメール書いて、Osman Hill(彼は泌尿器の比較解剖学から霊長の形態解剖に研究テーマを展開させた人です。74年頃に死んで、同じ時期に霊長類の進化生物学の本を書いて後にスターダム?にのし上がったシカゴ大学のRussel Tuttle と好対照なのがとても気になります)のことについて調べています。