パレート効率性から厚生経済第1原理を通して内部性に

パレート効率性から厚生経済第1原理を通して内部性に……

「ある漁業者がいて、漁場のそばに工場が建設された場合を例に挙げる。漁業者は工場の廃液により1000万円の被害をこうむり、工場が廃液を浄化する設備は500万円とする。経済全体としては、設備を設置したほうが利益が上がるが、漁業者と工場所有者が別人である場合、そうした配慮は働かない。また、設備を設置しない場合、工場は低コストで商品を生産し低価格で供給できる。経済全体としては工場の供給量は廃液汚染という不経済性を考慮しない過剰供給と言うことになる。これは経済全体の効率性が損なわれた状況である。
 そこで、政府が工場から廃液税を500万円取り、浄化設備を設置したとしよう。このときに工場は高コストとなり価格を引き上げざるを得ない。こうして工場の供給量は廃液汚染を考慮した最適な状態となる。これが内部化である。
 産業革命以降の産業発展と経済合理性の追求から、環境問題をはじめとする外部不経済は甚大な被害を及ぼすようになった。これらの被害に対して、企業への非難が集まった。こうしたなかで、外部不経済を積極的に内部化しようとする試みが始まった。
 地球温暖化の原因と目される二酸化炭素排出権取引はその代表である。二酸化炭素を排出する企業は、その排出のコストを含めることになるため、全体として最適化が図られる。また、環境税などの取り組みも内部化にあたる。内部化を進めることで経済的に考慮された資源配分と生産がおこなわれるようになる。環境を破壊するほどの力を持つ市場メカニズムや経済合理性を逆に利用するため、外部不経済を道徳や自主規制で解決しようとする試みよりも有力である。」(ウィキ「外部性」より)