第一歩というべきか、それとも……

シンガポール=藤本欣也】オーストラリアのラッド首相は13日、先住民であるアボリジニに対し、過去の政権が行った政策について公式に謝罪する。同国首相がアボリジニへの政策で謝罪を表明するのは初めて。12日には首都キャンベラの連邦議会に史上初めてアボリジニを招待して記念式典が催され、ラッド首相は「きょう私たちは過去の誤りを正すため、小さいが意義のある一歩を踏み出した」と強調した。/この日、議会内のホールで行われた式典ではアボリジニたちが伝統的な舞踊や音楽を披露した。/アボリジニは、「原住民」を意味する英語のABORIGINEに由来する。現在の人口は約46万人で、豪州の全人口約2000万人の2%強に当たる。/アボリジニたちは18世紀以降、英国からの流刑者を中心とした白人の入植過程で、「ハンティング」と称して殺害されたり、土地を奪われたりするなど、さまざまな迫害に遭ってきた。/1910年代から70年代にかけては、連邦樹立後の豪州政府がアボリジニの子供を親元から引き離し、白人の家庭などで養育させる隔離・同化政策を続けた。「盗まれた世代」と呼ばれたこうした子供たちは約10万人に上るとみられている。/ラッド首相が13日の連邦議会で謝罪するのはこの隔離・同化政策についてで、事前に公表された文書によると、「『盗まれた世代』とその家族たちが受けた苦しみや痛み」「誇りある人々と文化が受けた侮辱」などについて「申し訳なく思う」と表現されている。/これまでハワード前保守連合政権は謝罪に応じてこなかったが、労働党のラッド党首は昨年11月の総選挙でアボリジニへの謝罪を公約に掲げて圧勝、政権を奪取した。/ただし、ラッド首相はアボリジニに対する補償金の支払いには応じない方針で、その代わり、教育や医療、経済面における「アボリジニとその他豪州国民との格差是正」に全力で取り組む決意を表明する」(headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080213-00000070-san-int)。