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◎金鉱山開発―高まる社会的緊張:グアテマラ サン・マルコス県 サン・ミゲル・イシュタウアカン(ジェームズ・ロドリゲス=佐藤敬 訳)
 http://mimundoj.blogspot.com/2007/09/blog-post.html
「今年[2007年―引用者]の1月10日、28人の地元住民が同社との話し合いを求めた。彼らの共同体が被っている幾多の問題だけではなく、モンタナ社への土地売却に際し支払われたあまりにも低い経済補償額について協議するためである。しかしその話し合いの後、モンタナ社の統括マネージャーによってフェルナンド=バシリオ=ペレスは銃撃され、共同体のその他の住民も拳銃を持った同社の警備員による脅しを受けた。その後まもなく、不満を抱いた 650人近くの住民が鉱山へと続く道にバリケードをはり、鉱山の操業は13日間にわたり停止を余儀なくされた。/道路封鎖への報復として、モンタナ社は7人の共同体リーダーに対する逮捕状の発行を手配、1月10日の話し合い後に住民との対立が起こったとし、武力行使、脅迫、軽度及び重度の怪我を負わせたとの理由でこの住民7人を訴えたのだった。この7人の中には、ペドロ=デ=レオンのように、話し合いにすら参加していなかった人物も含まれていた。/2007年2月13日の早朝5時20分、国家警察隊のメンバーがフェルナンド=バシリオ=ペレスの自宅に突然現れ、行き先がわからないよう目隠しをしてフェルナンドを強制的に拘束した。同日、マリオ=バマカも同様に強制的に連行された。サン・マルコス教区の弁護士が彼らの釈放許可をどうにか得るまで、この2人の共同体リーダーは3日間を刑務所で過ごした。彼らの釈放は、2人の自宅軟禁及び残り5人のリーダーに対する人身保護請求権を認めることが条件とされたのだった。この一件は未だ解決に至っていない。/ 鉱山プロジェクト内には、有害廃棄物が溢れる大規模な「湖」があり、その存在がさらに不安を掻き立てている。「2006年の年末にかけて、イタリアの分析専門家フラビアノ=ビアンチーニにより、シパカパのツァラ川の水質調査が行われた。 その結果、鉱山からの酸性排水によって同河川が確実に汚染されていることが示された。鉱山の排水路では、通常レベルと比較して80倍の銅、13倍のアルミニウム、2.5倍のマンガンが検出された。約5,000人の地元住民の健康が直接的な影響を受ける可能性がある。大量に摂取された場合、銅はDNAの変異、肝不全、皮膚や歯、毛髪の疾患を引き起こす可能性を持つ。 アルミニウムは神経系に影響を及ぼし、認知症、記憶喪失、無気力、重篤な震えなどを引き起こしうる。」(同ページより)

「サンマルコス県のサン・ミゲル・イシュタウアカンとシパカパでは、米国のグラミス・ゴールド社=モンタナ鉱山開発が1999年に採掘権を得て、「マルリン」という鉱山名で既に鉱山開発を進めている。この鉱山では、金と銀の採掘が見込まれており、両方で約400万オンスの採掘を計画している。この鉱山は2006年から本格的な採掘を開始しする予定で、中米でも最大の規模のものとなる。(注:2002年にカナダのフランシスコ・ゴールド社を吸収合併した際に「マルリン」の採掘権を入手した/以下、4月にグァテマラのプレンサ・リブレ紙に投稿されたロドリゴ・レイ・ロサの記事を訳出します。 後日、イサバル県エストールの報告は整理します。/シエラ・マードレの宝/ ”コミュニティの人々が使っている川の水は、たぶんもう飲めなくなるだろうし、作物への水やりにも使えないだろう” /ロドリゴ・レイ・ロサ  (グァテマラのプレンサ・リブレ紙に2004年4月1日と2日に掲載された文章の翻訳である)/去る2月中旬、露天掘りによる金採掘に反対するグァテマラで初めてのデモ行動が、遠く離れたサンマルコス県シパカパ市において行われた。そこでは、カナダ(まま)の企業であるグラミス・ゴールド=モンタナ鉱山開発社が「マルリン」と名されるプロジェクトを開始したばかりである。
 鉱山は、サンマルコス住民と世論の信頼と好感を勝ち得るために惜しみない努力をしているようであるが、地域コミュニティ住民や抵抗する環境保護グループとの対立は避けようがない。
 朝9時のシパカパの町には人影もなかった。町のメインストリートでは40人ほどの警官で構成された反乱鎮圧部隊がデモ隊を待ち受けていた。1時間も過ぎたころ、埃にまみれる長い道を中央公園に向けて進む、人群れがやってきた。
 「青酸など欲しくはない」、「我々の命は金よりも価値がある」、「出て行け鉱山」と標した横断幕を高々と掲げ、デモに協力しているカトリック教会の地域教区、農業労働者運動、アフ・チュモル、先住民族女性の擁護団体、母なる森などの団旗をはためかせる。千人ほどが、広場に向かって隊列を組んで行進する。
 地方自治体の役所の前で、選出されたばかりの新市長が人々に脱帽と静粛を求めて、セレモニーは開始された。マヤ民族の様式に従い、先祖と神に加護を求める時間である。
 続いて、いくつもの演説が繰り広げられた。市長は鉱山の利益の前に住民の利益を擁護することを約束し、環境保護団体は、住民に対して自分たちの権利を行使するように力説した。その後、アフ・チュモルのリーダーが言葉を継いだ。
 最も雄弁な語りは次のように述べた。「たぶん、会社に土地を売った者は、他の土地で生活するために出て行くことができるだろう。しかし女性たちは、全ての金が採掘された後も、そこで生き続けなければならない。鉱山が粉砕することを計画しているその山には、青酸で汚染されたがれきだけが残されるだろう」(鉱山会社は10年間に渡って毎日1万4千トンの岩を”溶解”する計画である)
 女性は続ける。「どうしてわずかな数の住民と役人の利益が、残される村人の破滅を決定することが出来るだろうか!」 グァテマラ国家は総販売額の1パーセントの採掘権料を受け取れるという。仮にこの採掘権料が大きいとしても、この「マルリン」計画が包含する7千ヘクタールの周辺に生活する農民にとって、鉱山開発は有害な影響を永遠に残すものである。

 演説の終わりに抗議の署名集めが行われ、何百というシパカパ住民が名前を記すために広場で列を作り、遠い村々からやってきた人々は散っていった。
環境保護運動家や新聞記者、テレビのレポーターなどよそ者たちは、教区での食事に招待された。食後の時間に、広場で集められた署名が数えられたが、およそ 400ほどであった。シパカパで選挙権を有する約6千人のうち10%の署名を集めれば、前市長の時代に鉱山会社に認可された免許に対して住民からの異議申し立てを行うことが出来る。わずか200の署名が足りないだけである。
 食後のデザートは楽観主義を裏切るようなメモで終わりを告げた。2人のテレビのレポーターは、モンタナ社が操業拠点を建築し始めた場所への向かった。そこはシパカパの町から30分ほどのところであったが、そこで市長を驚かすこととなった。ちょうど市長は「先祖への加護」と民衆の擁護者としての短い演説を終わり、鉱山会社との会談に向かうところであった。
 市長はもうインタビューを受け入れず、リポーターにカメラを留めるように命ずると、後から、ホンデュラスのサン・イグナシオ鉱山を訪問するための、グラミス・ゴールド=モンタナ社の招待を受け入れたことを明かした。

注)この鉱山では青化法と呼ばれる、シアン化合物で金を溶解、抽出する方法をとるものと思われる。

http://www.prensalibre.com/pl/2004/abril/01/85147.html

 ”我々の鉱山法の改正が早急に必要だ”
 
 グァテマラ・シティに戻ると、モンタナ社の環境室長とのインタビューを取り付けた。生来の山師という風の、コスタリカ出身の地質学者は、鉱山開発に対する反対があることを理解せず、非常に高い利益をもたらすものだと考えていた。
 私は、シパカパとサン・ミゲルでの10年間に渡る鉱山開発でどれだけの水を利用するのか知りたかった。グラミス−ゴールド社が言うように、1トンの鉱石あたり3.5グラム含まれているとして、250万オンスの金を抽出するためには、2200万トンの砕石を青酸化合物を利用して浸出する必要がある。
 「どれだけの水を必要とするのですか」、と彼に尋ねると、室長はその質問には答えられないと言うばかりであった。しかし「マルリン」計画の環境影響調査によると、鉱山は1時間に25万リットルもの水を使用すると記されている。(サン・マルコスの1家族は月に平均して6千リットルほどを使うだけである)
 「溶解プロセスの中で地域の水を汚染する危険性はどれぐらいあるのでしょう」(「マルリン」計画は、青酸を含む水を1時間に1万7千リットル排出することとなっている)。 室長は、「ごくわずかだ」、と断言した。「私たちは米国の環境基準に則り、厳格な処理をしますから。」
 多くの人々が、米国の鉱山開発に関する規則をモデルとして利用すべきだと述べている。しかしカナダ系企業であるペガサス−ゴールド社のモンタナ州ゾートマン−ランダスキ鉱山では、住民が露天での新規鉱山開発の禁止を勝ち取っている。米国内の規制も十分ではないのである。このゾートマン−ランダスキ鉱山は、青酸化合物をまき散らした鉱山開発地の回復のための経費として3千万ドルの保証金を失っている。しかし、米国の行政官は、環境への被害を回復するためには、ペガサス社の保証金以上、3千350万ドルは必要だろうと明言している。
 ホンデュラスにあるグラミス・ゴールド社のサン・マルティン鉱山の付近では、周辺コミュニティで子どもの脱毛や皮膚病などがみられるという。
 「こうした問題が、排出される大量の青酸化合物にあることをとは考えないのですか」、「その調査は存じ上げない」と室長は肩をすくめて反論するだけであった。
 
 私たちは完全ではないし、こうした問題を避けるために技術も改善させていかなければならないのだろう。しかしグァテマラのシエラ・マドレ山脈には100 以上の金鉱山計画が存在する。現在の熱病を終わらせるために、世界中で金価格が下落することを期待するのは不当なことだろう。
 環境活動家が要求するように、露天掘りでの鉱山開発に対して与えられた免許を見直し、我々の鉱山法を改正することは急務である。
 価格上昇の中で、非再生資源に対する採掘権譲渡に伴う採掘権料が低いことは別としても、「マルリン」計画において、鉱山に対して環境被害に対する保証金が義務づけられていないことは明記しなくてはならない。環境省で承認された環境影響調査自体が(それの作成にはモンタナ社の責任ある人物が少なくとも一名は参加していたわけだが)、「プロジェクトマルリンはカテゴリーA」つまり、最も高い環境へのインパクトと危険を有するとされているにもかかわらずである。

 http://www.prensalibre.com/pl/2004/abril/02/85205.html
」(http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2004/09/index.html