水俣病問題解決に全面解決(=最終解決)というものはない!

言うまでもありませんが、水俣病問題解決に全面決着というものは、理論的にも社会問題の現実的にもありえません。社会問題というのは、裁判の結審のようなかたちで記載され、固定化するようなものではありえません。永遠につづく、考えなければならない課題なのです――だから社会「問題」というでしょう。この全面決着を政府自民党(およびボナパルティズム政党=公明党)は、全面解決と称していますが、それはいわゆるナチの全面解決と同じような発想です。すべて解決と明言すれば、問題が最終解決になると思いこむオトロシイ思考です。あるいは教科書検定のように、つねに監視しておかねば、未解決(あるいは全面決着できない)の問題が再び浮上するでしょう。そういう発想から自由になり、永遠の社会問題として日本の政府は、水俣病問題と永遠に付き合うという宣言をしないかぎり、安易な決着で蓋をすることになるでしょう(つまり失敗する)。
水俣病問題の全面解決に向け、未認定患者の救済策作りを進めている与党プロジェクトチーム(PT)の園田博之座長(衆院熊本4区)は20日、熊本県水俣市で、未認定患者の主要4団体のうち、「水俣病被害者芦北の会」(村上喜治会長、約270人)と「水俣病出水の会」(尾上利夫会長、約2900人)の両会長と個別に交渉し、救済策の柱となる一時金を150万円、療養手当を月額1万円とする案を提示した。両会長は「早期決着のために応じたい」と評価、受諾を前向きに検討する姿勢を示した。/芦北の会は21日、支部長会で受諾する見込み。出水の会は28日に幹部会を開催するが、団体加算金20億円が認められていないとして引き続き要望する構えだ。PTは今後、政治決着に反対している訴訟派団体との交渉や、一時金の財源負担に難色を示しているチッソの説得を行う。/PTは9月上旬、一時金を50万円とする案を提示。芦北の会、出水の会が「低額過ぎる」と反発したことから増額を検討し、一時金を130万円として療養手当と医療費をセットにする方向で調整に入っていた。/水俣病問題を巡っては、1995年の政治決着で、未認定患者約1万人に一律260万円の一時金と月額2万円前後の療養手当、医療費を支給することに決定。5団体に解決金として、総額49億4000万円の団体加算金を支払った。しかし、公害健康被害補償法に基づく現行の認定基準よりも緩やかに水俣病をとらえた2004年の関西訴訟最高裁判決後、認定申請者が急増、5600人を突破し、国家賠償請求訴訟なども相次いでいる。混迷状態解消のため、熊本県が95年の政治決着以降の未認定患者の救済を小池環境相(当時)に要望し、PTが昨年6月から取りまとめを進めていた。新たな政治決着の対象者は、認定申請と訴訟の取り下げ、公的機関で水俣病に特有とされる症状を認められることなどが条件となる/(2007年10月21日 読売新聞)」(www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071021-OYT8T00073.htm)。