出版流通のモラルハザードの原因としてのアマゾン・ドット・コム

知り合いの編集者からこんなメールがきた!
出版流通のモラルハザードの原因としてのアマゾン・ドット・コムの実態が明らかになりつつある!
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岩田書院さんの嘆きも聞いてあげてください。
http://www.iwata-shoin.co.jp/backnews/ura/ura479.htm
http://www.iwata-shoin.co.jp/backnews/ura/ura481.htm
さて、その中身を紹介するとこうなる。
「アマゾンは、アメリカに本拠を構える本の販売を中心とした通販サイトで、日本ではアマゾンジャパンが日本版サイトを運営している。その影響力は大きい。当初から問題になっていたのだが、アマゾンでは、自社倉庫に在庫がない場合「在庫切れ」という表示をしている。これでは読者は「品切れ」だと思ってしまうので、こういう表示はやめて欲しいと、出版社各社が抗議したが無視された。
 それだけではない。今年かららしいが、アマゾンはこの「在庫切れ」の説明として、「出版社またはメーカーで在庫切れのため、一時的に注文を受け付けられない場合。商品によっては、入荷しだい、Eメールでお知らせする場合もあります。」としている。
 おいおい、勝手に決めつけるなよ。これは明らかに違うぞ。出版社には在庫ありの場合がかなりある。現に、岩田書院が5月に出したばかりの新刊『地域社会からみた「源平合戦」』は、アマゾンで「現在在庫切れです」(2007年9月22日現在)となっている。売るほどあるぞ。
 ちなみに、岩田書院の本を置いてくれている「ジュンク堂」のサイトを見ると、お店に在庫がないときは「在庫なし」という表示である。これは判る。さすが正確な表示である。実際の書店の「在庫なし」という表現と、ネット書店のいう「在庫切れ」という表現は、受ける印象が違うと思うが、どうだ。おい、アマゾン、聞いてるか?。(続く)」
「アマゾンの「マーケットプレイス」というシステムをご存じだろうか。ここには、個人で出品できる。岩田書院の本を検索すると、以下の本は、アマゾン自体の在庫がなくて、個人が出品した本が掲示されている(データは、2007年9月22日現在)。
 『日本史へのいざない』(2006.05刊) 税込定価2100円→ 6430円
 『幕末中央政局の動向』(2007.05刊) 税込定価8295円→19129円
 右側の価格は、出品者(いずれも「ken taro12」)の提示した価格である。岩田書院がアマゾンに本をきちんと供給できていれば、定価の本が「新品」で表示されるので、だれもこんな高い値段で買わない。でも、知らないと、これしかないのかと思って、その出品者に発注してしまう人もいるかもしれない。実際はアマゾンに発注するのだか、アマゾンは出品者に連絡して、商品は出品者から読者に直送、代金はアマゾンが回収して、15%の手数料をとって出品者に支払う、というシステムである。
 だから、『幕末〜』が1冊売れると、kentaro12 には、16260円入ることになる。ken taro12 の仕入れ価格は判らないが、定価で買ったにしても 7965円の粗利である。読者も、ちょっと調べれば、この本は品切れではなく、定価で買えるということが判るはずなので、そうそううまく儲かるとは思えないが…。その対応策については、次回に。」