シントピカルに金儲け?

Pleasure of a Jazz Inspirationさてシントピカルリーディングで思い出したのだが、本田直之レバレッジ・リーディング』東洋経済、ってのがある。
これは原理的にはシントピカルな読み方をすすめているのだが、なぜそれをやらねばならないかというと、それはアドラーらの『本を読む本』の大学生や論文を書く研究者むけではなく、「(ビジネス書などは)他人の経験の詰まったオイシイ(=金になる)情報」なのだから、速読し、多読すれば、それだけオイシイ(=銭になる)ものを回収できる」という、まあちょっと身も蓋もない代物なのだ。もちろん論証はいい加減で、ちょっと香具師っぽいところがある。著者の議論は、ごく普通のビジネスマンのセンスから考えるとそれほど筋違いなものでなく、むしろ、本田さんのいう世界がビジネス的には正常で、我々の世界が多少おかしい(=いやホント勉強って本来の?人間の生活からみるとちょっと変態で畸形でもあるかもしれない。
なんでこんな話をするかというと、私は結構こういうビジネス本は好きで多読するわけではないのだが、時々読んでいる。昨日、町の小さな本屋さんを覗いていたら結構、時間管理の本があるね。あるいは時は金であり、資本であり、資源であるてな感じで、いかに時間管理をするのかについてのノウハウがかいてある。他方、銭のための本を読みなはれと激励する本田某には、ご自身がもっとも感動したビジネス本はカーネギーの『人を動かす』てなビジネス人間関係の本だ。ウェーバーの『プロ倫』で出てくるピューリタン的宗教的ドグマを必要としない「資本主義の精神」の部分で出てくるような陳腐なビジネス道徳論だ。吐き気を催すほど私は感受性はもう呆けちゃったが、ま、つまらない御託をならべたもの、好きにすればの世界。
結局『本を読む本』と『レバレッジ・リーディング』の違いは、前者が細かく意を尽くした大学人の読書論、後者は超アバウトなビジネス本なのだが、ポイントは多読し、シントピカルに読め!という意味で同じなのではないかと思うのだ。