卑[イヤ]しい医療人類学

はい、項目執筆のために原稿を書くことは何の問題もありません。
「癒し」の大項目の下に「医療人類学」は確かに大きすぎるのではなく、いわゆるカテゴリーミステイクなのでは? つまり、医療人類学は癒しを調査研究しますが、癒しそのものは医療人類学でもなんでもない社会現象で、両者は別々のカテゴリーに分類され解説されなければならない項目です。
また「癒し」の大項目の下にくる「病い」「治療」「民俗治療」というのも、あまり書く気がしない項目ですね。[というか自分が読者になった時に[業界人としても]読むような気にならない。いわゆる味気ない項目だと思います]。7年前の垂水源之介のエッセー
◎癒しは医療が取り組むべき道か?
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2000dir/n2369dir/n2369_15.htm
はお読みになった?
「医療人類学」という大項目でまとめるなら、医療的多元論、説明モデル、意味論ネットワーク、疾病論(病因論)、疾患/病気/病の三分類、苦悩のイディオムなど、専門化された用語の解説が続くとは思いますが、今日の医療人類学が、そのような概念を後生大事に育てるという発想もないし、またそういう理論もどれくらい理論的耐用年数が持っているかどうかは疑問です[行動科学化する悪弊は避けたいですが、啓蒙主義的にはそれらは重要な概念だと思います]……、ま、これもこれで、項目を書くためには予習復習が欠かせないので、どんなことを書くにも気は重いですけど。