科学記者は、どこまでいっても馬鹿[なのか]?

[rakuten:mcshowa:10002411:image]下桐実雅子さんという毎日の記者の署名記事。私が、この記事でひっかかるのが、「今回の研究は、それを科学的に裏付けた」という文言ですね。脳の比較解剖学は肉眼レベルからみるとかれこれ1世紀にのぼる伝統がある。まずこのことを踏まえていない。また、顕微鏡学的にも烏の脳が発達していることを証明するためにはは、他の類縁の鳥類との比較が必要で、また「何がどのように優れているのか」についての説明が必要。さらに、烏がゴミを漁ってずる賢いという、わくわく動物ランド的な動物へのステレオタイプと、その素人的解釈が、どのような点で科学的に実証されたのかについて必要。また脳がでかいとか、神経細胞が複雑ならば、なぜクジラやイルカなどの海生ほ乳類が人間の大脳にみまがうばかりの発達をとげているのにかかわらず、世俗的にいわれる「人間で3歳程度の知能」と言われるのかという反証例がある。脳の発達と知性の発達は、顕微鏡レベルの脳マップの提出(発見ではない)は証明されないだろうという、常識的推論がこの記者には働かなかったのか、私は理解しかねる。あるいは、科学者が素人むけに話した中途半端なリップサービスをそのまま鵜呑みにしたのか――もしそうなら記者の資質の問題にも関連する。その科学記者さん。もっと批判的に科学者の言うことを受け止めて、それが指し示すものと、示さないものを素人にも明確に伝えてくださいな。

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「カラスの脳は思考や学習、感情をつかさどる大脳が大きく、その中でも知的活動に関する部分がよく発達していることを、慶応大の研究グループがカラスの脳地図を初めて作製して突き止めた。カラスは体重に占める脳の重さの割合がサル並みに高く、木の枝の一部を曲げて幹の中にいる虫をひっかけるようにして捕るといった、道具を作る場面も観察されている。これらの行動などからカラスは頭がよいと言われていた。今回の研究は、それを科学的に裏付けた。/ 研究グループはカラス脳内の領域を区分して位置を把握するため、凍結した脳を縦に1ミリずつ輪切りにして、顕微鏡で神経細胞の分布を調査。約50枚の脳地図を作製した。/その結果、カラスは大脳が大きく、大脳の中でも「巣外套(そうがいとう)」「高外套」と呼ばれる知的活動にかかわる部分が発達していることもわかった。この部分は、複雑な情報処理を担っているヒトの大脳皮質の「連合野」と呼ばれる部分に相当すると考えられている。
 研究グループの伊沢栄一准教授(比較認知科学)は「カラス社会は複雑で秩序立っており、サル山や人間社会に似ている。進化の過程が違うカラスがどのように知性を獲得したかを知ることは、ヒトやサルの知性がどこから生まれたかを解明するのに役立つ」と話している」(headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070511-00000021-mai-soci)。