学問に王道なし

大学が、合格を出したということは、自分で自主的に研究をやれる資格を与えたということだから、これから堂々と「ケアの人類学」を研究すればいいのではないでしょうか。ケアの人類学は、さまざまな人がやっているけど(医療人類学と同様に)どれが決定版というものはないと思います。英語圏では、医療人類学の膨大な文献があります。君の知らない文献もたくさんあるはずですね。以前お会いした時に、方法論や研究の目的をめぐって、どうも御自身がどうどうめぐりされているような感じがしました。地域研究に関する文献の読み込みも十分ではないような気がします(その理由は、先行研究を具体的にあげて「誰が」「どこで」「どんな研究」をしているか、そら[=何も参照せずに]で言えない、からです)。先行研究の批判的読解の訓練もまだ足らないような気がします。このタイプの勉強は、専門家にとっても入門者にとっても、どんどん文献の蓄積がでてくるので、終わりがないのです。とにかく走り続けるしかないのです。たぶん、研究の新しいアイディアは、そのようなハードワークを通してしか生まれません。これまで、私が指摘した文献や君が独自で入手した文献の短い書評ノートを、地道に書いて、見せてもらうという、積み重ねしかないようです。ま、学問に王道なしということでしょうか?