サイエンスショップとはなにか?

市民科学者として生きる〈1〉 (高木仁三郎著作集) わが職場の春日匠さんの説明によると、「市民社会によって経験された関心への応答として、参加型の研究援助を提供するための組織」(Scipas WP1 p.6)という風に説明されます。もうちょっと分かりやすくいうと、サイエンスショップとは誰でも日常生活や仕事の中で感じた疑問などをに持ち込むことができる場所ということになります」(出典:http://skasuga.talktank.net/file/skasuga1025_script.pdf)。
 つまり、科学に関心をもつ市民が、専門家と集い、そのなかでの協働により、新しいタイプーー参加型という用語がそれを示唆するーーの研究開発をおこなおうという試みです。これは見方を変えると、いままで市民生活と疎遠だった研究組織を市民生活のほうにリテイル化(retail 原義は「小売り化」)するということですし、研究者の側からみれば、自分たちの研究成果を市民によりわかりやすく説明することが試される機会であり、かつまた市民の興味関心というもののなかに研究開発の新しいアイディアを見つけるということでしょう。
 ショップという商業資本主義のメタファーを使うことに私(=垂水源之介)は違和感がないわけではありませんが、科学を動かす原動力をひとつである「興味」をより公共性にあわせるようなサイエンスショップの試みは、もっと積極的に評価すべきでしょう。